ラット耳下腺腺房細胞開口分泌におけるホスホリパーゼDの関与

【目的】ラット耳下腺腺房細胞においてβ受容体刺激はアミラーゼなどのタンパク質の開口分泌を引き起こす. この過程には細胞内サイクリックAMPの上昇が関与する. 昨年度の本大会において私たちはサイクリックAMP依存性のアミラーゼ開口分泌は低分子量GTP結合タンパク質であるADP-ribosylation factor1(Arf1)のアミノ末端ペプチドにより阻害されることを報告した. Arf1はホスホリパーゼDの活性化因子の一つとなることが報告されている. そこで本研究ではラット耳下腺腺房細胞においてArf1がホスホリパーゼDを介して開口分泌に関与する可能性を検討するためにラット耳下腺ホスホリパーゼ...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 487
Main Authors 横山三紀, 道家洋子, 吉垣純子, 杉谷博士, 古山俊介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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Summary:【目的】ラット耳下腺腺房細胞においてβ受容体刺激はアミラーゼなどのタンパク質の開口分泌を引き起こす. この過程には細胞内サイクリックAMPの上昇が関与する. 昨年度の本大会において私たちはサイクリックAMP依存性のアミラーゼ開口分泌は低分子量GTP結合タンパク質であるADP-ribosylation factor1(Arf1)のアミノ末端ペプチドにより阻害されることを報告した. Arf1はホスホリパーゼDの活性化因子の一つとなることが報告されている. そこで本研究ではラット耳下腺腺房細胞においてArf1がホスホリパーゼDを介して開口分泌に関与する可能性を検討するためにラット耳下腺ホスホリパーゼD活性に対するArf1ペプチドの効果を調べた. 【方法】[3H]ホスファチジルコリンを基質として, 生成される[3H]コリンを定量しホスホリパーゼD活性を測定した. 【結果と考察】ラット耳下腺ホモジネートにGTPγS依存性のホスホリパーゼD活性を検出した. この活性はミリスチル化Arf1ペプチド(開口放出を抑制する)により容量依存的に阻害された. しかしアミノ酸配列が逆転しているミリスチル化ペプチド(開口放出を抑制しない)を用いた場合には阻害効果はきわめて弱かった. これらの結果はホスホリパーゼD活性が開口分泌に関与することを示唆する.
ISSN:0385-0137