閉塞性黄疸下における抗生剤の胆汁内移行の臨床的検討

閉塞性黄疸をきたした10症例を対象とし, 閉塞性黄疸下における抗生剤の胆汁内移行について調べ, その規制因子を検討した.抗生剤としてcefpiramide (CPM) を使用した.胆道完全閉塞の場合, 閉塞解除には抗生剤の胆汁内移行は認められなかった.しかし, 胆道閉塞解除後は比較的速やかな胆汁内移行を認めた. 抗生剤の胆汁内移行は胆汁流出状態に強く規制されていると考えられた.閉塞解除後, 胆汁内CPM最高濃度は血清総ビリルビン値と負の相関関係を示し (p<0.05), 黄疸が高度なほど抗生剤の胆汁内移行が悪いと考えられた.また胆汁内CPM最高濃度とindocyanine green (...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 23; no. 11; pp. 2570 - 2574
Main Authors 桜庭, 清, 添野, 武彦, 伊藤, 誠司, 鈴木, 行三, 進藤, 和夫, 水口, 直樹, 武田, 正人, 向島, 偕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.11.1990
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Summary:閉塞性黄疸をきたした10症例を対象とし, 閉塞性黄疸下における抗生剤の胆汁内移行について調べ, その規制因子を検討した.抗生剤としてcefpiramide (CPM) を使用した.胆道完全閉塞の場合, 閉塞解除には抗生剤の胆汁内移行は認められなかった.しかし, 胆道閉塞解除後は比較的速やかな胆汁内移行を認めた. 抗生剤の胆汁内移行は胆汁流出状態に強く規制されていると考えられた.閉塞解除後, 胆汁内CPM最高濃度は血清総ビリルビン値と負の相関関係を示し (p<0.05), 黄疸が高度なほど抗生剤の胆汁内移行が悪いと考えられた.また胆汁内CPM最高濃度とindocyanine green (ICG) 消失率 (K値) とが相関傾向を示したことから, 抗生剤の胆汁内移行はグリソン鞘の線維化, 肝血流量に影響を受ける可能性が示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.23.2570