末梢血幹細胞移植の現状と将来

日本造血細胞移植学会の平成12年度全国調査1)によれば, 図1に示すように, 自己末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation, PBSCT)は1999年には643例に実施され, これまでの累計は3,999例に達している. 一方, 同種PBSCTは1999年に91例, 累計で344例であるが, 2000年4月に保健診療が承認されたことによって急激な増加を示し, 12月までの9ヵ月で500例以上に実施されている. このように, 自己PBSCTはほぼ完全に自家骨髄移植(BMT)にとって替り, 同種PBSCTは同種BMTの代替法として急速に普...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 4; pp. 708 - 713
Main Author 原田実根
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.10.2001
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ISSN0546-1448

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Summary:日本造血細胞移植学会の平成12年度全国調査1)によれば, 図1に示すように, 自己末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation, PBSCT)は1999年には643例に実施され, これまでの累計は3,999例に達している. 一方, 同種PBSCTは1999年に91例, 累計で344例であるが, 2000年4月に保健診療が承認されたことによって急激な増加を示し, 12月までの9ヵ月で500例以上に実施されている. このように, 自己PBSCTはほぼ完全に自家骨髄移植(BMT)にとって替り, 同種PBSCTは同種BMTの代替法として急速に普及しつつある. その理由としては, 自己PBSCTが自家BMTに比べて, 1)移植後の造血回復が速やかである, 2)造血幹細胞採取に全身麻酔を要しない, など有利な点が明らかにされ2), さらに自己PBSCTの有利な点が同種PBSCTでも期待されているためと考えられる3). 本稿では, わが国の成績を中心に, 末梢血幹細胞移植の現状と課題について述べてみたい.
ISSN:0546-1448