両方向性グレン短絡術後の縦隔炎に併発した上行大動脈破裂に対する手術経験

胸骨縦切開により瘤破裂や心大血管の損傷で出血のコントロールが困難な状況下では, 大腿動脈送血, 経大腿静脈右房脱血(F-F bypass)を用いることがある. その際, 左心ベントは必要な補助手段と考えられる. 今回, 右室低形成を伴うEbstein奇形に対する両方向性グレン短絡術, 心房中隔欠損閉鎖術々後に縦隔炎で上行大動脈穿孔を来し, 穿孔部修復を行った症例を経験した. 本症例では, 出血のため胸骨正中切開が不可能で, F-F bypass及び低体温循環停止を用いて開胸操作を行った. その際, 上大静脈からの血液は直接肺動脈に流入し左室に還流するため左心ベントが必須で, 左前方開胸下に左心...

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Published inThe Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY Vol. 46; no. 9; pp. 910 - 914
Main Authors 瀧上剛, 村下十志文, 山内英智, 椎谷紀彦, 松居喜郎, 安田慶秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胸部外科学会 10.09.1998
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Summary:胸骨縦切開により瘤破裂や心大血管の損傷で出血のコントロールが困難な状況下では, 大腿動脈送血, 経大腿静脈右房脱血(F-F bypass)を用いることがある. その際, 左心ベントは必要な補助手段と考えられる. 今回, 右室低形成を伴うEbstein奇形に対する両方向性グレン短絡術, 心房中隔欠損閉鎖術々後に縦隔炎で上行大動脈穿孔を来し, 穿孔部修復を行った症例を経験した. 本症例では, 出血のため胸骨正中切開が不可能で, F-F bypass及び低体温循環停止を用いて開胸操作を行った. その際, 上大静脈からの血液は直接肺動脈に流入し左室に還流するため左心ベントが必須で, 左前方開胸下に左心室心尖部からベントを挿入した. 本法は胸骨正中切開せずに左心ベントを行う際に簡便で有効な到達法と考える.
ISSN:1344-4964