落差脱血法による小児体外循環回路の低充填量化

「要旨」小児の心臓手術は, 早期に手術を行う傾向にある. 小児の体外循環では, 患者の循環血液量が少なく血液希釈率が上がることから, 低体重になるほど輸血を必要とする症例が多い. 近年, 輸血の安全性は格段に向上してきているが, 感染等の危険性が完全になくなったわけではない. そこで我々は, 従来から行っている落差脱血法を用い, 低体重症例の体外循環を輸血せずに行うことを目的とし, 低充填量回路を作製した. 回路内充填量を削減するために, デバイスを低充填量の物に替え, 分離型人工心肺装置を導入し, 回路短縮のために清潔シートを開発した. これにより回路内充填量は, 従来使用していた回路350...

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Published in体外循環技術 Vol. 38; no. 4; pp. 540 - 543
Main Authors 佐藤拓茂, 高橋康徳, 桑原宏幸, 桜井登代子, 三浦正也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.12.2011
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」小児の心臓手術は, 早期に手術を行う傾向にある. 小児の体外循環では, 患者の循環血液量が少なく血液希釈率が上がることから, 低体重になるほど輸血を必要とする症例が多い. 近年, 輸血の安全性は格段に向上してきているが, 感染等の危険性が完全になくなったわけではない. そこで我々は, 従来から行っている落差脱血法を用い, 低体重症例の体外循環を輸血せずに行うことを目的とし, 低充填量回路を作製した. 回路内充填量を削減するために, デバイスを低充填量の物に替え, 分離型人工心肺装置を導入し, 回路短縮のために清潔シートを開発した. これにより回路内充填量は, 従来使用していた回路350mLを160mLまで削減できた. また, 10kg以下の症例を対象として, 従来の回路350mL(A群)15例と, 今回作製した回路160mL(B群)198例について比較検討を行った. 結果, ヘモグロビン量, ヘマトクリット値等において有意に高値を示した. 今後は, 安全性を考慮し, 更なる回路内充填量の削減を目指したいと考えている.
ISSN:0912-2664