新生仔ラット下顎臼歯歯胚の遠心側に局在する破骨細胞はβ-アクチンmRNAを高発現する

〔目的〕骨組織のin situ ハイブリダイゼーションにおける遺伝子発現コントロールとしてのβ-アクチンの有用性を検討していたところ, 下顎臼歯歯胚遠心側の歯槽骨に局在する破骨細胞が極めて高レベルのβ-アクチンmRNAを発現することを見出したので報告する. 〔方法〕35S-標識RNAプローブ(β-アクチン及びNGF)を調製した新生仔ラット下顎骨パラフィン切片(矢状断)を用いて通法によりin situ ハイブリダイゼーションを行なった. 更に, 抗Kat1抗原抗体を用いた免疫電顕を行なった. 〔結果と考察〕β-アクチンmRNAを種々の細胞が低レベルで発現していた. 興味深いことに臼歯歯胚遠心惻を...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 340
Main Authors 久木田敏夫, 久木田明子, 許立新, 藤加寿子, 唐全勇, 飯島忠彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 01.09.2003
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:〔目的〕骨組織のin situ ハイブリダイゼーションにおける遺伝子発現コントロールとしてのβ-アクチンの有用性を検討していたところ, 下顎臼歯歯胚遠心側の歯槽骨に局在する破骨細胞が極めて高レベルのβ-アクチンmRNAを発現することを見出したので報告する. 〔方法〕35S-標識RNAプローブ(β-アクチン及びNGF)を調製した新生仔ラット下顎骨パラフィン切片(矢状断)を用いて通法によりin situ ハイブリダイゼーションを行なった. 更に, 抗Kat1抗原抗体を用いた免疫電顕を行なった. 〔結果と考察〕β-アクチンmRNAを種々の細胞が低レベルで発現していた. 興味深いことに臼歯歯胚遠心惻を取囲む歯槽骨表面に存在する破骨細胞のみが極めて高レベルのβ-アクチンmRNAを発現することを示す所見が得られた. 連続切片を, NGFプロ-ブとハイブリダイズした試料では全くシグナルが検出されなかった臼歯歯胚遠心側に局在する破骨細胞の免疫電顕の結果, これらの破骨細胞は典型的なruffled borderとclear zoneを有し, 活性化された破骨細胞のマーカーであるKat1抗原も発現しており, 活性化状態にある破骨細胞であることが分かった. 臼歯歯胚は遠心方向に移動することが知られており, 移動によって生じたメカニカルストレスが破骨細胞を活性化させるとともに, β-アクチン遺伝子の高発現を誘導した可能性が考えられる.
ISSN:0385-0137