耳鼻咽喉・頭頸部外科診療のエビデンス-習慣性扁桃炎診療におけるエビデンス

扁桃炎診療, 特に外科的治療に関するエビデンスは乏しい1)2). また扁桃炎については, 専門講座においても, ここ1年内外の間に氷見3), 原渕4)らが詳述している. 本稿では, 習慣性扁桃炎について, 特に扁桃摘出術(以下, 扁摘)などの外科的治療を中心に概説する. 「習慣性扁桃炎の定義」本邦において一般的に用いられている, 口蓋扁桃炎の臨床的分類5)を表1に示す. 通常, 扁桃炎は口蓋扁桃炎を指すことが多く, 注釈のない場合には扁桃炎と口蓋扁桃炎は同義語として差し支えないと考える. 習慣性扁桃炎は, 臨床的分類では慢性扁桃炎に分類され, 間歇期には慢性単純性扁桃炎の状態であるが, 急性増...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 106; no. 9; pp. 888 - 891
Main Author 赤木博文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.09.2003
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ISSN0030-6622

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Summary:扁桃炎診療, 特に外科的治療に関するエビデンスは乏しい1)2). また扁桃炎については, 専門講座においても, ここ1年内外の間に氷見3), 原渕4)らが詳述している. 本稿では, 習慣性扁桃炎について, 特に扁桃摘出術(以下, 扁摘)などの外科的治療を中心に概説する. 「習慣性扁桃炎の定義」本邦において一般的に用いられている, 口蓋扁桃炎の臨床的分類5)を表1に示す. 通常, 扁桃炎は口蓋扁桃炎を指すことが多く, 注釈のない場合には扁桃炎と口蓋扁桃炎は同義語として差し支えないと考える. 習慣性扁桃炎は, 臨床的分類では慢性扁桃炎に分類され, 間歇期には慢性単純性扁桃炎の状態であるが, 急性増悪期には急性扁桃炎と同様の症状・局所所見を示す. 急性扁桃炎を繰り返す回数は年3回までが多く, 年4回以上反復するケースは減少するとされており, 札幌医科大学による全国の耳鼻咽喉科機関へのアンケート調査6)でも, 年4回以上の急性増悪を認める場合を習慣性扁桃炎と定義するという回答が最多であったと報告されている.
ISSN:0030-6622