脾臓低形成を合併したループス腎炎による ネフローゼ症候群に対し,各種ワクチン接種を先行した後に 寛解導入療法を完結させた一例
36 歳男性.関節痛,浮腫および発熱にネフローゼ症候群と腎機能低下を伴い精査加療目的に入院した.抗核抗体陽性,抗二重鎖deoxyribonucleic acid 抗体陽性,低補体血症を認め,全身性エリテマトーデス(SLE)と診断した.ヒドロキシクロロキンとプレドニゾロンで治療を開始した結果,腎外症状は軽快し腎機能も回復したが,ネフローゼ症候群は完全寛解に至らなかった.この間,腎生検でループス腎炎(LN)class IV + V と診断し,寛解導入療法としてミコフェノール酸モフェチル(MMF)の追加を検討した.しかし,CT で脾臓低形成を認め,免疫抑制療法の強化による劇症型感染症の発症リスクの上...
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Published in | 岩手医学雑誌 Vol. 77; no. 2; pp. 55 - 62 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
岩手医学会
01.08.2025
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ISSN | 0021-3284 2434-0855 |
DOI | 10.24750/iwateishi.77.2_55 |
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Summary: | 36 歳男性.関節痛,浮腫および発熱にネフローゼ症候群と腎機能低下を伴い精査加療目的に入院した.抗核抗体陽性,抗二重鎖deoxyribonucleic acid 抗体陽性,低補体血症を認め,全身性エリテマトーデス(SLE)と診断した.ヒドロキシクロロキンとプレドニゾロンで治療を開始した結果,腎外症状は軽快し腎機能も回復したが,ネフローゼ症候群は完全寛解に至らなかった.この間,腎生検でループス腎炎(LN)class IV + V と診断し,寛解導入療法としてミコフェノール酸モフェチル(MMF)の追加を検討した.しかし,CT で脾臓低形成を認め,免疫抑制療法の強化による劇症型感染症の発症リスクの上昇が懸念されたため,肺炎球菌等の複数のワクチン接種を先行した後にMMF を追加したところ,ネフローゼ症候群は完全寛解に達した.変則的な寛解導入療法を要したSLE・LN を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0021-3284 2434-0855 |
DOI: | 10.24750/iwateishi.77.2_55 |