当病棟におけるエンゼルケアの検討 遺された家族と心の通うエンゼルケアを目指して
当病棟におけるエンゼルケアの検討~遺された家族と心の通うエンゼルケアを目指して~高木朋子(たかぎともこ)松井愛・勝野美加子・小板昌子水野紀代美・古田里江子・矢島廣美東濃厚生病院・混合病棟エンゼルケア・エンゼルメイク・家族〈はじめに〉エンゼルケア(以後ケアとする)は死亡確認をされた患者に対する最後の看護であると考え、患者・家族へ誠意をもって提供している。しかし、遺された家族の悲しみを感じつつ、できる限り配慮しながらも、多忙な看護業務の中で時間に追われ、手早く行われているのが現状であった。そのため、これまで行われてきたケアは正しかったのか。看護師はどんな気持ちを抱きながら行っているのかなどの疑問が...
Saved in:
Published in | 日本農村医学会学術総会抄録集 p. 315 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2008
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.57.0.315.0 |
Cover
Summary: | 当病棟におけるエンゼルケアの検討~遺された家族と心の通うエンゼルケアを目指して~高木朋子(たかぎともこ)松井愛・勝野美加子・小板昌子水野紀代美・古田里江子・矢島廣美東濃厚生病院・混合病棟エンゼルケア・エンゼルメイク・家族〈はじめに〉エンゼルケア(以後ケアとする)は死亡確認をされた患者に対する最後の看護であると考え、患者・家族へ誠意をもって提供している。しかし、遺された家族の悲しみを感じつつ、できる限り配慮しながらも、多忙な看護業務の中で時間に追われ、手早く行われているのが現状であった。そのため、これまで行われてきたケアは正しかったのか。看護師はどんな気持ちを抱きながら行っているのかなどの疑問があった。そこで、当病棟における現状の把握とケアを見直し、方法・物品の充実化を図ることで、遺された家族と気持ちの通い合うケアの実施につなげたいと考えた。〈研究目的〉現状のエンゼルケアに関する問題点を明確にし、ケア改善方法の実施と効果を知る。〈研究方法〉対象:当病棟看護師21名・死亡確認をされた患者とその家族・死亡退院時に依頼された葬儀社 研究期間:平成19年3月~11月 方法:ケア方法改善前後でのアンケート調査・改善方法にてケアの実施・葬儀社への聞き取り調査 調査内容:看護師はケア実施時に何を思うか。方法に満足しているか。を方法改善前後で比較。ケアに対する家族の反応を確認。葬儀社に対し、自宅でのメイクの変化・看護師への要望等を調査。〈結果〉方法改善前後のアンケート結果:方法に満足していないとの回答は前80%・後7%であった。方法改善前において、ケア中に困ることは化粧品が最も多かった。 家族の反応:「元気な頃の顔に戻った」「一緒に処置をできて良かった」等の反応が得られた。 エンゼルメイク物品の検討結果:「保湿力が高い」「カバー力がある」「安価である」ことに加え、家族と一緒に処置を行った場合でも「見栄えの良い化粧品」として、必要最低限の物品を揃えた。〈考察〉アンケート調査により、現状のエンゼルメイク物品に問題があることが明確となった。このことから、その人らしい表情づくりや死体現象に対応するためには、従来の道具や方法では不可能であると考えられた。 情報を得るまでは、「手を組む」「口を閉じる」ことが当然として、縛る行為をやむをえないと感じていた。 しかし生前の患者をよく知る家族が、それに対しどんな思いを抱いているかを意識することで、必然的に家族に対しかける言葉も変わった。 また、家族と共にケアをすることの大切さも感じつつ、家族と関わるようになれたのではないかと考える。 ケアを家族と一緒に行うことで、そのコミュニケーションを通して患者の「らしさ」を取り戻し、家族にとっては身内の死を実感する場となる。家族が患者の体を拭きながら、または化粧をしながら患者の楽になった表情を見て、語りかける時間が家族にとって慰めとなるのではないかと考える。 エンゼルケアは多くの学びを与えてくださった患者に対する感謝の気持ちも込めて、大切にしていきたい看護ケアのひとつであると再認識した。 〈結論〉1.死後の身体的変化に対応するにあたり、知識不足と物品の不備があった。 2.エンゼルケア方法と物品の確立により、改善効果が得られた。3.エンゼルケアの意味を理解することで、家族へのケアも心がけ るようになり、家族と共にケアをすることは、患者の「らしさ」を目指すケアに繋がると考えられる。 |
---|---|
Bibliography: | 2J268 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.57.0.315.0 |