西オーストラリア・レオノラ乾燥地域におけるCO2固定大規模植林技術の検討 (1) 塩と植生との関係

現在, 地球温暖化問題における二酸化炭素の有効な削減策の提示が急がれている. そこで, 太陽エネルギーを利用した陸上系での生物的固定法, すなわち植林事業が有効な手段の一つだと考えられる. 本研究では技術的に未解決の問題を多く残し, 研究課題も多い乾燥地域である西オーストラリア州・レオノラ地域を対象地域とした. 本報告では1999年2月8日から3月6日に現地調査を行い, 土壌・透水性・塩濃度・栄養塩類濃度の分析を行った結果を報告し, 主にバイオマス量との関係を議論した. レオノラ地域において主要樹種であるフトモモ科ユーカリ属E. camaldulensisを植林する際の目安として, 飽和透水係...

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Published in日本海水学会誌 Vol. 54; no. 3; pp. 196 - 204
Main Authors 松本, 剛, 田中, 淑子, 小島, 紀徳, 加藤, 茂, 斉藤, 昌宏, 安部, 征雄, 山田, 興一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本海水学会 2000
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Summary:現在, 地球温暖化問題における二酸化炭素の有効な削減策の提示が急がれている. そこで, 太陽エネルギーを利用した陸上系での生物的固定法, すなわち植林事業が有効な手段の一つだと考えられる. 本研究では技術的に未解決の問題を多く残し, 研究課題も多い乾燥地域である西オーストラリア州・レオノラ地域を対象地域とした. 本報告では1999年2月8日から3月6日に現地調査を行い, 土壌・透水性・塩濃度・栄養塩類濃度の分析を行った結果を報告し, 主にバイオマス量との関係を議論した. レオノラ地域において主要樹種であるフトモモ科ユーカリ属E. camaldulensisを植林する際の目安として, 飽和透水係数1.9×10-3cm/s程度以上, ハードパンまでの深さ180cm程度以上, 塩濃度0.05meq/100g程度以下, 栄養塩類濃度0.36meq/100g 程度以上の土壌環境が必要であることが分かった. これらの条件が満たされると, 現存炭素固定量42t-C/haが見込まれる.
ISSN:0369-4550
2185-9213
DOI:10.11457/swsj1965.54.196