漢方専門施設におけるインシデント・アクシデント事例の実態調査から考える漢方リスクマネージメント 日本東洋医学会医療安全委員会活動報告(2021)

医療安全委員会では,安全に漢方方剤を使用するための種々の医療安全に関する啓発活動を行ってきた。今回,医療事故の発生予防・再発防止を推進することを目的にアンケート調査を行った。その結果,漢方専門19施設中15施設から回答が得られ,247件の漢方領域におけるインシデント・アクシデント事例を収集した。漢方方剤の副作用に関する事例には,黄芩含有漢方方剤による間質性肺炎,烏頭中毒,甘草による偽アルドステロン症の事例があった。また,今まで集積できなかった漢方専門施設に特有な煎剤に特化した事例も収集することができた。本委員会では漢方領域におけるリスクマネージメントとして①漢方方剤の副作用に対する認識不足,②...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 448 - 462
Main Authors 関根, 麻理子, 牧野, 利明, 田中, 耕一郎, 地野, 充時, 古屋, 英治, 嶋田, 沙織, 四日, 順子, 田原, 英一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2022
Subjects
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.73.448

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Summary:医療安全委員会では,安全に漢方方剤を使用するための種々の医療安全に関する啓発活動を行ってきた。今回,医療事故の発生予防・再発防止を推進することを目的にアンケート調査を行った。その結果,漢方専門19施設中15施設から回答が得られ,247件の漢方領域におけるインシデント・アクシデント事例を収集した。漢方方剤の副作用に関する事例には,黄芩含有漢方方剤による間質性肺炎,烏頭中毒,甘草による偽アルドステロン症の事例があった。また,今まで集積できなかった漢方専門施設に特有な煎剤に特化した事例も収集することができた。本委員会では漢方領域におけるリスクマネージメントとして①漢方方剤の副作用に対する認識不足,②漢方製剤の用量の勘違い,③薬剤名・生薬名の類似性による誤り,④頻用処方への先入観,⑤煎剤への異物混入,⑥加味加減の多い生薬とその用量に関する誤り,⑦病棟での誤りの7つをポイントとして考えた。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.73.448