放射線治療科初診時のがん患者の思い アセスメントシートの分析

【はじめに】 当科では、初診時に患者の全体像を把握し、依頼科の病棟・外来看護師との連携を図るためにアセスメントシートを使用している。今回、放射線治療科初診時のがん患者の反応をアセスメントシートから調査し、放射線治療を受けるがん患者の思いを明らかにした。その結果から、放射線治療開始時の看護介入について示唆を得たので報告する。 【研究方法】 期間 2006年1月~2007年12月 対象 放射線治療科の初診患者326名      男性223名、女性103名 (65才以下67名、65才以上259名) 方法 アセスメントシートの「放射線治療の説明を受けた患者の反応」11項目を調査し、初診時のがん患者の思...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 145
Main Authors 小川, 幸子, 岩田, 賢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2008
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Summary:【はじめに】 当科では、初診時に患者の全体像を把握し、依頼科の病棟・外来看護師との連携を図るためにアセスメントシートを使用している。今回、放射線治療科初診時のがん患者の反応をアセスメントシートから調査し、放射線治療を受けるがん患者の思いを明らかにした。その結果から、放射線治療開始時の看護介入について示唆を得たので報告する。 【研究方法】 期間 2006年1月~2007年12月 対象 放射線治療科の初診患者326名      男性223名、女性103名 (65才以下67名、65才以上259名) 方法 アセスメントシートの「放射線治療の説明を受けた患者の反応」11項目を調査し、初診時のがん患者の思いを明らかにする。 『項目内容』 1)放射線治療に対する反応6項目 2)罹患したがんに対する反応 3)放射線治療を選択する事への反応3項目4)その他 【結果】 1)放射線治療に対する反応  放射線治療の副作用への不安110名 漠然とした放射線治療への不安41名放射線治療の効果に対する不安32名治療によるQOL低下への不安16名 長期通院治療による身体的不安12名 放射線化学療法に対する不安6名  2)罹患したがんに対する反応  病気に対する不安44名  3)放射線治療を選択する事への反応  主治医・治療医にお任せする149名  治療医の説明が理解できた123名  家族が勧めるので治療を受ける6名 4)その他 治療費等20名 記載32名 【考察】 1)放射線治療に対する反応は217名であり、特に多かったのは副作用に対する不安であった。これは、「放射線」に対する根強い誤解や知識不足、手術のように事前にイメージできない治療のため、不安や恐怖感を持ってしまうためと考える。従来の初診時の看護介入は、パンフレットを使用したオリエンテーションであった。今後は、アセスメントシートから得られた患者情報を元に、患者の理解度や不安の内容・程度に応じた個別の看護介入が必要と考える。また、制約された外来診療中のアプローチは難しく、事前に病棟・外来でパンフレットを配布したり、病室訪問を検討する必要がある。 2)放射線治療を選択する時、「分からないので、お任せします」と言う患者は149名であった。これは、主治医からがんの告知、転移や再発等の説明を受けた後に当科の受診となり、主治医の説明を十分に理解・受容できていない事が要因と考える。また、患者の約80%が65才以上の高齢者である事からも言える。当科では、初診時に家族の同席を推奨している。患者が安心して放射線治療を開始するためには、家族の理解と協力が必要であり、家族に対する教育的関わりが重要である。 【まとめ】 放射線治療科初診時のがん患者は、さまざまな不安を持ち、主体的にがん放射線治療治療の選択をできない人が多かった。そのため、放射線治療開始時の看護介入は、患者が安心して治療が開始できるアプローチと、理解しやすい医療情報の提供を行い、家族を含めた教育的関わりが重要である事が明確になった。
Bibliography:1J097
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.57.0.145.0