床上安静を強いられた患者に影響を及ぼすストレス要因 看護者との認識の相違
〈はじめに〉 病棟では痛みや治療の為に床上安静を強いられ、日常生活動作を制限される患者が多い。患者は自力で行えない不自由さ・医療者への気兼ねや不満など様々な要因から、精神的ストレスを抱えていると思われる。 そこで、床上安静を強いられた患者に影響を及ぼすストレスの要因がどのようなものなのか、また、看護者との認識の相違を明らかにしたいと考えた。 〈目的〉 床上安静を強いられた患者の精神的ストレスを分析する事で、患者の関わりや援助が適切なものであったかを明らかにする。 〈研究方法〉 期間 2006年7月~9月 対象 1.一週間以上床上安静となった患者10名 性別…男性7名 女性3名 ...
Saved in:
Published in | 日本農村医学会学術総会抄録集 p. 188 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2007
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.56.0.188.0 |
Cover
Summary: | 〈はじめに〉 病棟では痛みや治療の為に床上安静を強いられ、日常生活動作を制限される患者が多い。患者は自力で行えない不自由さ・医療者への気兼ねや不満など様々な要因から、精神的ストレスを抱えていると思われる。 そこで、床上安静を強いられた患者に影響を及ぼすストレスの要因がどのようなものなのか、また、看護者との認識の相違を明らかにしたいと考えた。 〈目的〉 床上安静を強いられた患者の精神的ストレスを分析する事で、患者の関わりや援助が適切なものであったかを明らかにする。 〈研究方法〉 期間 2006年7月~9月 対象 1.一週間以上床上安静となった患者10名 性別…男性7名 女性3名 個室者…9名 大部屋…1名 年齢…10~70代 床上安静について主治医から説明済み 2.病棟看護師 15名 方法 日常生活動作《(1)食事 (2)排泄 (3)清潔 (4)更衣》、(5)床上安静、(6)看護師の対応と看護師への不満、(7)環境の変化について、患者は最もストレスと感じた項目と、看護師は患者が最もストレスを感じると予測される項目について聞き取り調査を行った。また、その回答に伴う意見や感想も述べてもらい分析の参考とした。その際、患者に本調査の趣旨、目的や方法を説明し、調査により得られた情報は個人が特定出来ない様処理し、本研究以外の目的で利用されないように配慮した。 〈結果〉 患者からの7項目の聞き取り調査により、ストレス要因として最も多かったのが“床上安静”であり、回答の70%を占めていた。それに続き“排泄”“環境の変化”が多く、その他の項目については諦めの言葉が多く、上位回答に至らなかった。 患者回答上位3つの具体的内容として、“床上安静”は「目の前の物さえ取れなくてイライラする」「死のうと思ったが、動けないから死ぬ事も出来ない」など、動作・移動が自由に出来ない事への苦痛がストレスとなっている回答が得られた。“排泄”では「頼みにくい」という看護師への気兼ねを感じる回答が多かった。“環境の変化”では「周りの人が気になる」「眠れない」との意見があった。 一方看護師の回答では80%が“排泄”と答え、続いて“床上安静”との結果になった。回答理由としては、「患者がそう言っていた」「患者の立場を考えるとそう思う」であった。 〈考察〉 聞き取り調査の結果から看護師と患者の回答はほぼ一致しており、床上安静を強いられた患者の主なストレス要因は、“床上安静”“排泄”“環境の変化”との結果になった。多くの患者は“床上安静”という身体的な拘束から強いストレスとなり、悲観的感情が生じやすく看護師が考える以上にストレスを感じている。 患者は床上安静という非日常的な状況下での“排泄”に強くストレスを感じており、また、看護師からも同等の意見がきかれ患者の排泄へのストレスを理解していると思われる。“環境の変化”では、慣れない病院生活や他人との共同生活から適応出来ず不眠となる訴えが多く聞かれたが、看護師は環境の変化で受ける患者のストレスを重要視していないと思われた。 また、これらの調査については全ての患者に共通するものではなく、患者の個人的背景や年齢・性格によって感じ方・考え方の違いが伴う為、個別性を踏まえての援助が必要になってくる。 〈まとめ〉 今回の調査から、看護師は患者が陥りやすい心理的特徴・感情を理解した上で、患者個々の不安やストレスに目を向けた援助・ケアが必要である事が分かった。 |
---|---|
Bibliography: | 2B19 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.56.0.188.0 |