研究 左室造影と心電図所見 虚血性心疾患202例における検討

冠状動脈造影により主要冠状動脈の少なくとも1本に75%以上の狭窄を認めた202例で左室造影所見と安静時心電図所見を比較検討した. 前壁のdyskinesisおよびakinesisはV2~6,1,aVLの異常Q波にきわめてよく対応し,hypokinesisは前胸部誘導のrS型およびsmall Q型のQRSまたは正常型のQRSに対応した.下壁のakinesisは,範囲が大きいものはaVFの異常Q波によく対応するが,小さいものはaVFに異常Q波を示さないことがある. 下壁のhypokinesisの一部はaVFの比較的浅い異常Q波に対応するが,多くはaVFの正常型QRSに対応した.前壁,下壁のいずれに...

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Published in心臓 Vol. 9; no. 4; pp. 299 - 308
Main Authors 鷹津, 文麿, 石村, 孝夫, 長崎, 文彦, 松本, 貞敏, 中西, 成元, 西条, 敬, 山口, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 01.04.1977
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Summary:冠状動脈造影により主要冠状動脈の少なくとも1本に75%以上の狭窄を認めた202例で左室造影所見と安静時心電図所見を比較検討した. 前壁のdyskinesisおよびakinesisはV2~6,1,aVLの異常Q波にきわめてよく対応し,hypokinesisは前胸部誘導のrS型およびsmall Q型のQRSまたは正常型のQRSに対応した.下壁のakinesisは,範囲が大きいものはaVFの異常Q波によく対応するが,小さいものはaVFに異常Q波を示さないことがある. 下壁のhypokinesisの一部はaVFの比較的浅い異常Q波に対応するが,多くはaVFの正常型QRSに対応した.前壁,下壁のいずれにおいても, 正常収縮はすべて正常型QRSに対応した. 高位後壁のakinesisはV1の高いR波に対応した.心尖部に限局した収縮異常は心電図QRSに変化を示さないものが多かった.前胸部誘導のST-T変化は前下行枝病変の存在を示すがaVFのST-T変化は偽陽性が多かった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.9.4_299