糖尿病教育入退院時での心理的感情負担の変化 糖尿病問題領域質問表(PAID)による分析

糖尿病は生涯治療を継続していかなければならない疾患で患者の負担は大きいと思われる。入院患者の治療への心理的負担度を知るために、アキュチェックインタビュー(ACI)を行い入院時と退院時でどのように変化するのかについて分析した。〔対象〕平成20年8月~平成21年7月までの糖尿病教育入院患者84名(男性57名、女性27名)で平均年齢は60.75±13.0歳であった。〔方法〕ACIは必ず個室で面接を行いその中で糖尿病問題領域質問表(PAID)を通して分析した。PAIDとは「糖尿病であること」「治療をすること」「他者との関係」などに関連する感情負担を20項目にまとめた質問表で、各項目の質問に1~5までの...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 142
Main Authors 木曽, 匡, 石川, 弘美, 清水, 梢恵, 横山, 美智子, 八幡, 和明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.142.0

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Summary:糖尿病は生涯治療を継続していかなければならない疾患で患者の負担は大きいと思われる。入院患者の治療への心理的負担度を知るために、アキュチェックインタビュー(ACI)を行い入院時と退院時でどのように変化するのかについて分析した。〔対象〕平成20年8月~平成21年7月までの糖尿病教育入院患者84名(男性57名、女性27名)で平均年齢は60.75±13.0歳であった。〔方法〕ACIは必ず個室で面接を行いその中で糖尿病問題領域質問表(PAID)を通して分析した。PAIDとは「糖尿病であること」「治療をすること」「他者との関係」などに関連する感情負担を20項目にまとめた質問表で、各項目の質問に1~5までの主観的な5段階で評価をつけてもらう。負担に思う気持ちが高いほど点数が高くなる。その点数の変化に注目した。〔結果〕全体的な感情負担を入退院時で比較してみると、PAIDの総点数の平均は、入院時42.7点、退院時38.7点であった。またそれぞれの項目の平均点数は、入院時6.0点、退院時5.1点といずれも退院時には軽減されていた。患者背景の違いではインスリン治療の有無では注射ありの群で負担がやや高い傾向にあった。キーパーソンの有無についてキーパーソン無しの群でやや高い傾向がみられた。性別、就業の有無、入院の回数では有意差は認められなかった。[考察]教育入院システムでは、糖尿病の治療や検査、知識の獲得がより効率的にできるように計画されているが、心理面への配慮は十分とは言えない。入院時の患者の感情負担がどこにあるか把握した上で、傾聴する姿勢を持ちながら、その負担を軽減するようにかかわることで、治療意欲が高まり、自己管理がしやすくなると考えられる。私たちは患者の感情状態について学び、知る努力を続けていく事が必要であると考える。
Bibliography:P1-C1-5
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.142.0