症例 Pseudoxanthoma elasticumの心血管病変について 冠動脈に狭窄性病変を認めた1例を中心にして

Pseudoxanthoma elasticum(PXE)の1例のおもに心血管系病変について若干の文献的考察を加え報告した.症例は60歳,女子.主訴は全身倦怠感ならびに心悸尤進である.50歳ごろより高血圧症を指摘されていた.頸部ならびに腋下に黄色皮疹を,眼底にangioid streaksを認めた.心電図上心房細動あり.心音図にて僧帽弁開放音を認め,心エコー図所見とを併せ考えると僧帽弁に肥厚などの変化を有する可能性が示唆された.左室造影より左室壁の肥厚と駆出分画の低下が,大動脈造影より解離性大動脈瘤ならびに腎動脈の狭窄が認められた.選択的冠動脈造影にて左右冠動脈ともに有意な狭窄像を認めた.また...

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Published in心臓 Vol. 9; no. 9; pp. 866 - 871
Main Authors 松井, 忍, 村上, 暎二, 竹越, 襄, 平丸, 義武, 金, 武雄, 前田, 正博, 原, 重樹, 村上, 英徳, 北野, 英一, 升谷, 一宏, 嵯峨, 孝, 野村, 正幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 01.09.1977
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Summary:Pseudoxanthoma elasticum(PXE)の1例のおもに心血管系病変について若干の文献的考察を加え報告した.症例は60歳,女子.主訴は全身倦怠感ならびに心悸尤進である.50歳ごろより高血圧症を指摘されていた.頸部ならびに腋下に黄色皮疹を,眼底にangioid streaksを認めた.心電図上心房細動あり.心音図にて僧帽弁開放音を認め,心エコー図所見とを併せ考えると僧帽弁に肥厚などの変化を有する可能性が示唆された.左室造影より左室壁の肥厚と駆出分画の低下が,大動脈造影より解離性大動脈瘤ならびに腎動脈の狭窄が認められた.選択的冠動脈造影にて左右冠動脈ともに有意な狭窄像を認めた.また,心内膜心筋生検法により得られた心筋組織内のsmall coronary arteryにおいて動脈壁内弾性板の顎粒状断裂および内膜肥厚が認められ,PXEの血管病変として矛盾しないと考えられた.この所見よりPXEがsmall coronary artery diseaseの1つの原因となりうる可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.9.9_866