リハ医学の革新・障害を克服できるリハ医学の確立 バイオフィリア リハビリテーション学会報告

はじめに: 2006年に開催した国際・国内大会の開催と意義を紹介した。大会のオーストラリア側準備委員長を勤めた特許弁護士のマークプリン氏を取り上げ,脳血管後遺症などで障害を得た身体機能を高い割合で改善可能な新しいリハ手法に関する多くのオーストラリア特許から強く興味を持った事を紹介した。初めて,外務省の後援を得たこと,そして,次回国際大会は,平成20年9月大会長ポコロスキー教授(Prof. M. Pokorski)の下,ポーランド共和国ワルシャワ市で,ポーランド学術会議(Polish Academy of Sciences)と共催で開催する準備が進んでいることも紹介した。 問題の指摘:事例を示し...

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Published inバイオフィリア Vol. 2015; no. 2; pp. 190 - 194
Main Author 滝沢, 茂男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 高齢市民が活躍するための社会技術研究会 05.05.2015
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Summary:はじめに: 2006年に開催した国際・国内大会の開催と意義を紹介した。大会のオーストラリア側準備委員長を勤めた特許弁護士のマークプリン氏を取り上げ,脳血管後遺症などで障害を得た身体機能を高い割合で改善可能な新しいリハ手法に関する多くのオーストラリア特許から強く興味を持った事を紹介した。初めて,外務省の後援を得たこと,そして,次回国際大会は,平成20年9月大会長ポコロスキー教授(Prof. M. Pokorski)の下,ポーランド共和国ワルシャワ市で,ポーランド学術会議(Polish Academy of Sciences)と共催で開催する準備が進んでいることも紹介した。 問題の指摘:事例を示し,リハビリテーション医学革新の必要性を述べた。既存のリハ医療に関する脳卒中合同ガイドライン委員会の著作(2004年版)を紹介し,日本リハビリテーション医学会(当時理事長・慶應義塾大学リハビリテーション医学千野直一教授)報告として,「脳卒中リハビリ医学・医療での治療法,訓練手技などは臨床経験に基づいて行われてきた領域が多く見られ,全般的にはエビデンスの面からは妥当性が十分とはいえず,今後のさらなる研究が待たれるといえよう」との報告を引用した。 解決への取り組み:筆者の大会挨拶を引用し,革新へ向けた我々の取り組みを示した。「リハ医学の革新による障害の克服が,人口ピラミッドが逆転するという人類にとって未曾有の変革期に,超高齢社会に佇む人類の救済に他のどのような手段にもまして意義があり,我々の学会の活動がその実現を可能にする。」また,同時に進行している6件の公的研究を紹介した。 研究を組織してきた筆者の思い:リハ医学革新(リハ医学を「障害の受容」ではなく「障害を克服し,身体機能を取り戻すことの出来るリハ医学・医療」に変革)の研究を,医師や技術者ではない著者が,無給で進める中で,自ら「風車にロバで進むことを,自身が馬に乗った騎士で城中の美女を救いにいくと一人思いこんでいたドンキホーテ」に比較せざるを得ないほどの困難に直面した事もあった事を振り返った。そして,今日では研究の進展に伴い,そう遠くない将来に実現できると確信している。 結語:人口ピラミッドが逆転するという人類にとって未曾有の社会においても,人類が皆希望をもち豊かに暮らせることが重要である。その実現のために,社会保障負担を軽減し,次世代に過度に依存せずにすむ持続可能な社会を構築する必要がある。高齢者に対する「国民一般の意識改革」も必要である。その確立のために,高齢者が自立できる社会構築の為の哲学・医学・工学・社会科学・公共政策研究まで含めた広範な領域の研究を進めている。読者の研究への参加を期待している。
ISSN:2186-8433
2186-8913
DOI:10.14813/ibra.2015.190