胎児ヘプシジン値は母体血清鉄値からのみ影響を受けている
ヘプシジンを中心とした母児間の鉄動態を解析するため,分娩時母体静脈血と臍帯静脈血の全血算検査,ヘプシジン,血清鉄と網状赤血球,鉄代謝関連4物質を測定した.ヘプシジンは母体血値が臍帯血値より有意に低く,母体は,血清鉄の供給を容易にしており,胎児は血清鉄を蓄積する方向を示していた. 臍帯血でヘプシジンとフェリチンが正の相関,トランスフェリンとフェリチンが負の相関を示しており,胎児は既に鉄を蓄積し,過度の輸送を防いでいると考えられた.網状赤血球とエリスロポエチンの正の相関は出生後の赤血球産生の準備が整っていることを示していた.重回帰分析で母体ヘプシジンと胎児の鉄代謝指標は関連が無く,胎児ヘプシジンは...
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Published in | 岩手医学雑誌 Vol. 74; no. 1; pp. 21 - 30 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
岩手医学会
2022
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Summary: | ヘプシジンを中心とした母児間の鉄動態を解析するため,分娩時母体静脈血と臍帯静脈血の全血算検査,ヘプシジン,血清鉄と網状赤血球,鉄代謝関連4物質を測定した.ヘプシジンは母体血値が臍帯血値より有意に低く,母体は,血清鉄の供給を容易にしており,胎児は血清鉄を蓄積する方向を示していた. 臍帯血でヘプシジンとフェリチンが正の相関,トランスフェリンとフェリチンが負の相関を示しており,胎児は既に鉄を蓄積し,過度の輸送を防いでいると考えられた.網状赤血球とエリスロポエチンの正の相関は出生後の赤血球産生の準備が整っていることを示していた.重回帰分析で母体ヘプシジンと胎児の鉄代謝指標は関連が無く,胎児ヘプシジンは母体血清鉄だけと有意な関連を認めた事から,母体と胎児では,鉄の供給と蓄積は血清鉄の母体から胎児への輸送を除き,独立して管理されている. |
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ISSN: | 0021-3284 2434-0855 |
DOI: | 10.24750/iwateishi.74.1_21 |