点滴セットのリサイクルを試みて 効果的な腋窩クーリングの考案

【はじめに】 当科では、発熱患者に対し解熱方法としてまず手技の比較的簡単な腋窩クーリングを実施する事が多いが、意識障害で体動が激しい患者には無効なことが多い。今回医療廃棄物をリサイクルし腋窩クーリング用具を考案し、結果を得られたので報告する。 【研究目的】 1.医療廃棄物をリサイクルし、腋窩クーリング用具(以下クーリン君)を作成する。 2.作成したクーリン君で、有効な腋窩クーリング効果が得られる。 【研究方法】 1.研究期間 平成17年1月10日から平成17年4月25日  2.研究方法 使用済み経管栄養点滴セット(以下点滴セット)を洗浄乾燥後、EOGガス滅菌にて滅菌処理し、その中にCMC製剤(...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 175
Main Authors 三熊, 敬子, 北嶋, 清子, 太田, 幸一, 成田, 沙織, 赤塚, 悦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2005
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.54.0.175.0

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Summary:【はじめに】 当科では、発熱患者に対し解熱方法としてまず手技の比較的簡単な腋窩クーリングを実施する事が多いが、意識障害で体動が激しい患者には無効なことが多い。今回医療廃棄物をリサイクルし腋窩クーリング用具を考案し、結果を得られたので報告する。 【研究目的】 1.医療廃棄物をリサイクルし、腋窩クーリング用具(以下クーリン君)を作成する。 2.作成したクーリン君で、有効な腋窩クーリング効果が得られる。 【研究方法】 1.研究期間 平成17年1月10日から平成17年4月25日  2.研究方法 使用済み経管栄養点滴セット(以下点滴セット)を洗浄乾燥後、EOGガス滅菌にて滅菌処理し、その中にCMC製剤(パルプ剤)を注入。シーラーで4cm間隔と2cm間隔に閉塞し切断し、市販されているクーリング製品との冷却効果を比較検討。4cmと2cmの各集団とで冷却時間が長いほうを箱にいれ冷凍し作成。洗濯ネットにいれ患者の腋窩へ使用。使用後は洗濯ネットより取り出し洗浄し再度冷凍。ネットは洗濯、乾燥の後、再度使用する。 【結果】 クーリン君内容物の長さと市販用品との比較では、市販のクーリング剤は急激な温度変化に対しクーリン君では緩徐な温度変化であった。更に2cmの方が4cmより緩徐であった。体温と冷却効果については、市販製品の場合開始時温度は低いが冷却時間の持続性は図れず、クーリン君では120分後の場合でも冷却効果が期待できる。 【考察】 今回考案したクーリン君は医療廃棄物を利用しているが経管栄養用で血液汚染が無くEOG滅菌処理を加え、パルプ材のCMC製剤を使用している為人体に安全である。CMC製剤は熱伝導に優れ、また点滴セットを細かくすることで密着性・変形性から冷却時間が長く多少の体動にもずれにくい利点がある。クーリン君は0℃以上を保つことからそのまま使用でき、市販のものと同等の作用時間があり、凍傷の徴候もみられなかったことに繋がったと考えられる。 【結論】 1.医療廃棄物をリサイクルし腋窩クーリングを考案した。 2.点滴セットにCMC製剤を入れて2cmの方が冷却時間が長かった。 3.内容物を2cmにすることで用意に形が変形し腋窩の深部に固定できた。 4.クーリン君はそのまま使用でき市販のクーリング製品と同等の作用時間があった。 5.クーリン君の程よい冷却効果は、リラクゼーション効果にもなる。
Bibliography:1N04
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.54.0.175.0