カエル味細胞の電位依存性内向き電流の性質
【目的】脊椎動物の味細胞は活動電位を発生する. また味覚器を構成する細胞は形態によって数種類のタイプに分類される. しかし味細胞のタイプと電気生理学的性質の関係を結びつけた研究は非常に少ない. そこで本研究ではカエル味覚器内において形態学的に同定した味細胞からどのような電位依存性内向き電流が記録されるか調べた. 【方法】ウレタンで麻酔したウシガエル(Ranacatesbeiana)から舌を摘出し, 茸状乳頭のスライス標本を作製した. 味覚器の中間層からホールセルパッチクランプ記録を行った. Lucifbr yellowを加えたパッチピペット充填液を使用してパッチクランプ記録を行ったのち蛍光観察...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 350 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
01.09.2003
Japanese Association for Oral Biology |
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Summary: | 【目的】脊椎動物の味細胞は活動電位を発生する. また味覚器を構成する細胞は形態によって数種類のタイプに分類される. しかし味細胞のタイプと電気生理学的性質の関係を結びつけた研究は非常に少ない. そこで本研究ではカエル味覚器内において形態学的に同定した味細胞からどのような電位依存性内向き電流が記録されるか調べた. 【方法】ウレタンで麻酔したウシガエル(Ranacatesbeiana)から舌を摘出し, 茸状乳頭のスライス標本を作製した. 味覚器の中間層からホールセルパッチクランプ記録を行った. Lucifbr yellowを加えたパッチピペット充填液を使用してパッチクランプ記録を行ったのち蛍光観察を行い, 細胞のタイプを同定した. 【結果】type Ib, type IIおよびtype III cellで電位依存性Na+電流が観察された. この電流はtype Ibおよびtype II cellではTTX感受性であったが, type III cellではTTX抵抗性であった. またtype III cellでは電位依存性Ca2+(Ba2+)電流が観察されたが, type Ibおよびtype II cellでは観察されなかった. 【考察】味覚受容においてtype III cellはtype Ibおよびtype II cellとは異なった役割を担っている可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0385-0137 |