軟骨細胞の分化・石灰化とアルカリ性ホスファターゼ, オステオポンチンの局在

軟骨内一次骨化過程における石灰化機序を明らかにする目的で, 連続的に椎骨の一次骨化が観察できるマウスの尾椎を用いてオステオポンチンおよびアルカリ性ホスファターゼの局在を組織細胞化学的, 微細構造学的に検索した. 【材料と方法】生後4日のICRマウスの尾部を4%パラホルムアルデヒドにて固定し, EDTAで脱灰後にパラフィン, テクノビット包埋した. von Kossa染色, ならびにアルカリ性ホスファターゼ(ALP), 酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)の酵素組織化学, オステオポンチン(OPN)の免疫組織化学およびin situハイブリダイゼーションをおこなった. 【結果と考察】マウス...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 427
Main Authors 佐々木朝代, 網塚憲生, 入江一元, 小澤英浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
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Summary:軟骨内一次骨化過程における石灰化機序を明らかにする目的で, 連続的に椎骨の一次骨化が観察できるマウスの尾椎を用いてオステオポンチンおよびアルカリ性ホスファターゼの局在を組織細胞化学的, 微細構造学的に検索した. 【材料と方法】生後4日のICRマウスの尾部を4%パラホルムアルデヒドにて固定し, EDTAで脱灰後にパラフィン, テクノビット包埋した. von Kossa染色, ならびにアルカリ性ホスファターゼ(ALP), 酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)の酵素組織化学, オステオポンチン(OPN)の免疫組織化学およびin situハイブリダイゼーションをおこなった. 【結果と考察】マウス尾椎では, ALPの局在は尾椎形成早期の軟骨膜細胞から認められたが, 基質ではALPの局在は肥大化軟骨細胞周囲の軟骨基質が軟骨膜直下よりも先行して認められた. 軟骨組織におけるALP反応は増殖軟骨細胞層の下層から認められた. von Kossa染色による石灰化基質の局在性は軟骨基質が膜性骨形成部位よりも先行して観察され, 軟骨基質では増殖軟骨細胞層の最下層または肥大化層上層から認められた. さらに, OPNの強い遺伝子発現および免疫局在が肥大軟骨細胞層の下層に観察されたことから, OPNは石灰化にやや遅れて分泌が開始されることが示唆された. なお, 肥大化軟骨細胞層下層になるとALP反応は減少する傾向が認められた. 以上のことから, 軟骨基質の石灰化において, ALPは初期石灰化機構に関与するが石灰化の進行とともに減弱化すること, またOPNは添加的石灰化機構に対して抑制的に作用する可能性が推測された.
ISSN:0385-0137