痙性緩解に対する半導体レーザーの応用
【目的】痙性の緩解を目的とした半導体レーザーの有用性についての報告は少ない. 今回, 脳血管障害による片麻痺症例を中心に検討した. 【方法】調査対象は痙性麻痺を有する77症例で, 内訳は脳血管障害による片麻痺44例, 脳性麻痺24例, その他である. 使用機器は, Gallium-Alminium-Arsenide半導体レーザー(持田製薬社製PANALAS 300)で, 出力60 mW, 波長830 nm, 周波数5~10 Hzの連続波を使用した. 照射部位は膝窩部で脛骨神経の走行上, ならびに内転筋中枢側で閉鎖神経を目標に30秒間照射し, 5秒間の間隔をおいて3回連続照射を週1回施行した....
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 30; no. 12; pp. 937 - 938 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
1993
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】痙性の緩解を目的とした半導体レーザーの有用性についての報告は少ない. 今回, 脳血管障害による片麻痺症例を中心に検討した. 【方法】調査対象は痙性麻痺を有する77症例で, 内訳は脳血管障害による片麻痺44例, 脳性麻痺24例, その他である. 使用機器は, Gallium-Alminium-Arsenide半導体レーザー(持田製薬社製PANALAS 300)で, 出力60 mW, 波長830 nm, 周波数5~10 Hzの連続波を使用した. 照射部位は膝窩部で脛骨神経の走行上, ならびに内転筋中枢側で閉鎖神経を目標に30秒間照射し, 5秒間の間隔をおいて3回連続照射を週1回施行した. 評価は照射直後に行い, 調査期間は8週間とし, 痙性緩解の効果判定は痙性尖足に対して, 5:著明改善(足クローヌスの消失), 4:中等度改善(足クローヌスの出現回数の減少), 3:軽度改善(足クローヌスの出現回数は不変であるが自覚症状の改善), 2:不変, 1:悪化. 内転筋の痙性に対して, 4:中等度改善(他動的ROMが20°以上改善), 3:軽度改善(10°以上の改善), 2:不変(10°未満の改善), 1:悪化. 【結果】77症例中, 著明改善4例, 中等度改善28例, 軽度改善21例, 不変24例で, 悪化例はなかった. 軽度改善以上を有効とすると, 69%に有用性が認められた. 【まとめ】痙性麻痺77例に対して, 半導体レーザー照射を行い69%の痙性の緩解が認められ, 副作用や悪化例もないことから, 今後レーザー照射が新しい理学療法の一つとして応用が期待できる. |
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ISSN: | 0034-351X |