随意的頭頸部運動の動的可動域測定

[目的]簡便な測定装置を用いて, 頭頸部随意連動の動態解析を試みた. [方法]被験者は, 若年健常者15名であった. 頭頸部と体幹の運動(X, Y軸方向)は, 被験者の自然な運動を妨げない頭頸部動揺測定装置を用いて記録した. 被験者は楽な座位を取り, 頭頸部の1)前, 後屈, 2)左, 右側屈, 3)左-右回旋の各連続運動を20秒間行った. 運動の速度やリズムは, 各被験者に任せた. [結果]頭頸部の可動域は, 「前, 後屈」が113±9度(平均値±標準偏差)でその比は約6:5であり, 「左, 右側屈」が86±12度でその比は約5:5であった. 「回旋」の可動域は, 前後が108±12度, 左...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; p. 598
Main Authors 宮岡里美, 平野秀利, 宮岡洋三, 山田好秋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.08.2001
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:[目的]簡便な測定装置を用いて, 頭頸部随意連動の動態解析を試みた. [方法]被験者は, 若年健常者15名であった. 頭頸部と体幹の運動(X, Y軸方向)は, 被験者の自然な運動を妨げない頭頸部動揺測定装置を用いて記録した. 被験者は楽な座位を取り, 頭頸部の1)前, 後屈, 2)左, 右側屈, 3)左-右回旋の各連続運動を20秒間行った. 運動の速度やリズムは, 各被験者に任せた. [結果]頭頸部の可動域は, 「前, 後屈」が113±9度(平均値±標準偏差)でその比は約6:5であり, 「左, 右側屈」が86±12度でその比は約5:5であった. 「回旋」の可動域は, 前後が108±12度, 左右が77±9度であり, それぞれ「前, 後屈」時の95%と「左, 右側屈」時の89%に相当した. 「回旋」の運動軌跡は, 前後方向に長い楕円であった. どの運動軌跡も各人固有のパターンを示し, その再現性は高かった. 体幹部の動揺は小さく, 最大の「前, 後屈」でも約10度だった. [考察]「前, 後屈」と「左, 右側屈」の可動域は, 従来のX線写真法や角度計を用いて測定した知見とほぼ一致した. 「回旋」については, その最大可動域が, 単純な「前, 後屈」と「左, 右側屈」運動時の値より小さかった. これから, 健常者での随意的な可動域には, 「前, 後屈」と「左, 右側屈」には解剖学的限界があり, 「回旋」には機能的限界があることが示唆された.
ISSN:0385-0137