細菌細胞壁ペプチドグリカンのヒト口腔線維芽細胞ならびに単球系細胞活性化作用

CD14はLPSを始めとして様々な菌体成分のレセプターとして知られている. 我々は歯肉線維芽細胞にはCD14高発現と低発現の細胞が存在することを見出した. 本研究では, ヒト歯根膜線維芽細胞を供試して, CD14の発現の程度, 菌体成分に対する応答性を歯肉線維芽細胞ならびにヒト単球系細胞THP-1のそれと比較検討した. 【材料と方法】歯肉および歯根膜線維芽細胞は, 抜去歯の正常組織片より分離培養し, 継代数5から12代で供試した. CD14の発現は抗CD14抗体(MEM18)で蛍光染色後, フローサイトメトリーで解析した. IL-8産生はELISA法で測定した. LPSはE. coli O55...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 483
Main Authors 畠山純子, 菅原俊二, 楊淑華, 杉山明子, 奥田禮一, 高田春比古
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:CD14はLPSを始めとして様々な菌体成分のレセプターとして知られている. 我々は歯肉線維芽細胞にはCD14高発現と低発現の細胞が存在することを見出した. 本研究では, ヒト歯根膜線維芽細胞を供試して, CD14の発現の程度, 菌体成分に対する応答性を歯肉線維芽細胞ならびにヒト単球系細胞THP-1のそれと比較検討した. 【材料と方法】歯肉および歯根膜線維芽細胞は, 抜去歯の正常組織片より分離培養し, 継代数5から12代で供試した. CD14の発現は抗CD14抗体(MEM18)で蛍光染色後, フローサイトメトリーで解析した. IL-8産生はELISA法で測定した. LPSはE. coli O55:B5より熱フェノール, 水抽出したもの(Sigma)をペプチドグリカンはStaphylococcusepiden midisより酸素処理して得た可溶性のSEPSと合成ムラミルジペプチド(MDP)を供試した. 【結果と考察】(1)歯根膜線維芽細胞のmCD14発現は低レベルであった. (2)SEPSならびにLPSはmCD14高発現のTHP-1細胞ならびに歯肉線維芽細胞に強力にIL-8産生を誘導したが, mCD14低発現細胞に対する作用は弱かった. (3)MDPはmCD14低発現の歯根膜細胞に対してもIL-8を誘導した. (4)SEPSならびLPSの作用は抗CD14抗体でほぼ完全に抑制されたが, MDPのそれは部分的にしか抑制されなかった. 以上の知見は, ペプチドグリカンやLPSとは異なり, MDPはCD14非依存的にもヒト線維芽系細胞に作用することを示唆している.
ISSN:0385-0137