ガーパイクのエナメル質とエナメロイドの発生過程におけるアメロジェニンの免疫反応
エナメル質とエナメロイドの発生学的および質的相違点をより明瞭にする目的で, 両組織が共在しているガーパイクの歯胚を組織学的, 免疫組織化学的に比較検索した. (材料と方法)全長40cm前後の個体3尾より歯胚を摘出し, 通法にしたがい光顕および電顕観察用切片を作製して組織学的に検索した. また, 抗ウシ, アメロジェニン抗体を用い, protein A-gold法とABC法により免疫反応の検出を行った. (結果および考察)本種の歯の組織の発生順序は, まずエナメロイド基質が先端部に形成され, これに引き続き象牙質が発生する. その後エナメル器の歯頸端はHertwigの上皮鞘様に基底側に伸張して,...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 441 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
30.08.1999
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Summary: | エナメル質とエナメロイドの発生学的および質的相違点をより明瞭にする目的で, 両組織が共在しているガーパイクの歯胚を組織学的, 免疫組織化学的に比較検索した. (材料と方法)全長40cm前後の個体3尾より歯胚を摘出し, 通法にしたがい光顕および電顕観察用切片を作製して組織学的に検索した. また, 抗ウシ, アメロジェニン抗体を用い, protein A-gold法とABC法により免疫反応の検出を行った. (結果および考察)本種の歯の組織の発生順序は, まずエナメロイド基質が先端部に形成され, これに引き続き象牙質が発生する. その後エナメル器の歯頸端はHertwigの上皮鞘様に基底側に伸張して, 基底部(tooth shaft)象牙質の表面に薄い(厚さ0.52μm)エナメル質を分泌する. アメロジェニンの免疫反応はこの幼若エナメル質とエナメル芽細胞の分泌果粒に見られたが, エナメロイド基質には認められなかった. しかし, エナメロイド成熟期初期の内エナメル上皮内にはアメロジェニン反応陽性果粒が豊富に出現し, 細胞遠心端に貯留してエナメル質基質様組織を細胞内に形成するがこれらが細胞の外に分泌されることはなかった. エナメロイド形成部位の内エナメル上皮細胞におけるエナメル質基質分泌機構の退化が先端部でのエナメル質発生を妨げているものと思われる. |
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ISSN: | 0385-0137 |