Bacteroides forsythus由来リポタンパク質の歯周病における病因的役割について

口腔マイコプラズマのリポタンパク質(LP)はヒト正常歯肉線維芽細胞(HGF)を活性化し, 単球系あるいはリンパ球系細胞に細胞死を誘導する. 本研究では, 歯周病原細菌であるBacteroides forsythus由来LPの生物活性を調べた. B. forsythus ATCC 43037の菌体を超音波で破砕し, Triton X-114二相分離法でLP(BfLP)を調製した. HGF, KB細胞(口腔上皮系細胞株), 単球, マクロファージ系のTHP-1ならびにHL-60細胞, Tリンパ球系のMOLT-4細胞を実験に供試した. サイトカインはELISA法で, 細胞死は細胞外に放出された乳酸脱...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 463
Main Authors 長谷部晃, 荒川真一, 石倉裕晃, 吉村篤利, 土田信夫, 安田元昭, 柴田健一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:口腔マイコプラズマのリポタンパク質(LP)はヒト正常歯肉線維芽細胞(HGF)を活性化し, 単球系あるいはリンパ球系細胞に細胞死を誘導する. 本研究では, 歯周病原細菌であるBacteroides forsythus由来LPの生物活性を調べた. B. forsythus ATCC 43037の菌体を超音波で破砕し, Triton X-114二相分離法でLP(BfLP)を調製した. HGF, KB細胞(口腔上皮系細胞株), 単球, マクロファージ系のTHP-1ならびにHL-60細胞, Tリンパ球系のMOLT-4細胞を実験に供試した. サイトカインはELISA法で, 細胞死は細胞外に放出された乳酸脱水素酵素量で測定した. BfLPはHGFに対するIL-6産生誘導活性を有していた. endotoxinがBfLPに0. 004%混入していたが, BfLPの活性はpolymyxin Bで阻害されず, lipoprotein lipase感受性であったため, 本活性発現にはLPが重要であると推測された. さらに, BfLPはTHP-1にTNF-αならびにIL-6産生を誘導した. BfLPのレセプターはToll-like receptor2であることが示唆された. また, BfLPはHGF, KB, THP-1ならびにHL-60細胞に対して細胞死を誘導した. BfLPのIL-6産生ならびに細胞死の誘導活性には多くのLPが関与しており, その中で42kDaならびに80kDa付近のLPが強い活性を有していることが示唆された.
ISSN:0385-0137