老年者心不全の長期予後
老年者軽症心不全 New York Heart Association (NYHA) クラスI, IIの118人について5年間 prospective 研究を行った. 心不全の安定期に仰臥位30分後に採血し, 血中心房性ナトリウム利尿ホルモン (ANP) 及びノルエピネフリン (Nor), アルドステロン (Ald), レニン活性 (PRA), また, 心エコー法により, 左室駆出率 (LVEF), 左室拡張終期径 (LVDD), 左室収縮終期径 (LVDS), 左房径 (LAD) を測定した. 平均年齢は75.2歳で, 5年間で心死16人, 非心死12人, 生存者90人であった. 高血圧約4...
Saved in:
Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 33; no. 5; pp. 340 - 345 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.05.1996
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 老年者軽症心不全 New York Heart Association (NYHA) クラスI, IIの118人について5年間 prospective 研究を行った. 心不全の安定期に仰臥位30分後に採血し, 血中心房性ナトリウム利尿ホルモン (ANP) 及びノルエピネフリン (Nor), アルドステロン (Ald), レニン活性 (PRA), また, 心エコー法により, 左室駆出率 (LVEF), 左室拡張終期径 (LVDD), 左室収縮終期径 (LVDS), 左房径 (LAD) を測定した. 平均年齢は75.2歳で, 5年間で心死16人, 非心死12人, 生存者90人であった. 高血圧約40%, 虚血性心疾患約35%で, 心房細動は平均29%であった. LVEFは約60%, LVDD, LVDS, LADとも, 3群に差を認めなかった. また, 血中Ald, Nor, PRAについても差はなかった. ANPのみ心死群で174.1pg/mlで, 非心死60.4pg/ml, 生存者75.6pg/mlと, 心死群で高値を示した(p<0.003). Cox比例ハザード法によりANPはオッズ比7.31 (p<0.006) で唯一の規定因子であった. ANP値を80pg/ml以上の高値群と未満の低値群に分けると各々心死群は33.3%, 5.9% (p<0.001) で, 有意に高値群で高い心死率を示した. 老年者軽症心不全の長期の心死率は, NYHA IIIの値に近く, 治療及び予防の対象となりうることを示す. 血中ANP値はその目安となりうる. |
---|---|
ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.33.340 |