骨芽細胞様細胞の増殖に及ぼす「マイクロピット」効果の可視化
【目的】細胞の増殖, 分化の制御に細胞外マトリックス(ECM)の幾何学的性状が重要な役割を果たし, それによって組織の正常な形態が形成ないし維持されることが近年明らかにされてきている. 我々は, ECMを立体的にパターニングする目的で微細加工したシリコン単結晶基板表面をECMコラーゲンでコーティングした. 稠密型マイクロピットアレイ(cMPA)上で細胞を培養し, その増殖に及ぼすマイクロピット効果をアクリジンオレンジ染色による細胞の蛍光観察により可視化した. 【方法】フォトリソグラフィーおよびエッチング技術を用いて(100)方位のシリコン単結晶基板表面に一辺の長さが25, 50, 100, 2...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 447 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】細胞の増殖, 分化の制御に細胞外マトリックス(ECM)の幾何学的性状が重要な役割を果たし, それによって組織の正常な形態が形成ないし維持されることが近年明らかにされてきている. 我々は, ECMを立体的にパターニングする目的で微細加工したシリコン単結晶基板表面をECMコラーゲンでコーティングした. 稠密型マイクロピットアレイ(cMPA)上で細胞を培養し, その増殖に及ぼすマイクロピット効果をアクリジンオレンジ染色による細胞の蛍光観察により可視化した. 【方法】フォトリソグラフィーおよびエッチング技術を用いて(100)方位のシリコン単結晶基板表面に一辺の長さが25, 50, 100, 200, 400μmで深さが10μmの正方形のピットを10μm間隔で配置した構造を作成した. 各チップ(12×12μm角)内では同一サイズのピットとした. 同一条件でコラーゲンコーティングしたdMPAチップおよび対照の平板チップを同一ディッシュに置き, ラットの長骨から採取した骨髄間質細胞の継代1代目目の細胞を均一に播種し, 10%FBS添加αMEM中で培養した. 【結果, 考察】培養4日目の観察で25, 400μmサイズのcMPAでは平板と差が無かった. 50, 100, 200μmサイズのcMPA上で細胞数が有意に増加し, 特に50μmサイズで最大(平板に比べ約2倍)となり100, 200μmとピットサイズが増大すると増殖率は減少した. またピット内外で栄養条件その他の差は小さいと思われ, 細胞が認識したものは純粋に幾何学的な条件と思われた. |
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ISSN: | 0385-0137 |