硬組織形成に関連した遺伝子の網羅的解析 kusa細胞へのmicroarray法の適用

目的 硬組織形成に関係する遺伝子は最近同定が進んできた. しかし筋や神経系の分化と異なり, 全体像に不明な点が多い. 我々は硬組織形成モデルとしてkusa細胞を用い, microarrayで多数の遺伝子を同時解析した. 方法 マウスstromacellsから株化されたkusa細胞には硬組織形成能の高いkusa-Aと比較的乏しいkusa-Oの2種がある. この二つについて硬組織形成を促進する条件も加え, 各培養でRNA抽出した. そしてGeneAtlasを用い発現解析した. 結果 A, O間でAtlas上, 通常条件下では遺伝子発現パターンに明確な差はなかった. 促進条件下では, 両者とも全体に...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 451
Main Authors 勝部憲一, 川島伸之, 梅沢明弘, 須田英明, 高木実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:目的 硬組織形成に関係する遺伝子は最近同定が進んできた. しかし筋や神経系の分化と異なり, 全体像に不明な点が多い. 我々は硬組織形成モデルとしてkusa細胞を用い, microarrayで多数の遺伝子を同時解析した. 方法 マウスstromacellsから株化されたkusa細胞には硬組織形成能の高いkusa-Aと比較的乏しいkusa-Oの2種がある. この二つについて硬組織形成を促進する条件も加え, 各培養でRNA抽出した. そしてGeneAtlasを用い発現解析した. 結果 A, O間でAtlas上, 通常条件下では遺伝子発現パターンに明確な差はなかった. 促進条件下では, 両者とも全体に著明な遺伝子発現低下が見られた. つまりkusaは分化すると一般に遺伝子発現が抑制傾向にあることを示唆している. BRCA2, CSF1, TIMP3でRT-PCRをおこない, 実際に発現が抑制されることを確認した. 総括 硬組織形成モデルとして用いたkusa細胞は分化が進むと遺伝子発現が抑制されることがわかった. しかしそのパターンと変化は形成能の異なる2種間で明瞭な差がない. Atlasで解析できる遺伝子数が588個と少ないことが一つの原因と考えられ, さらに規模の大きいスクリーニングをするためGEM gene arrayで解析を始めた. 約8,000種の遺伝子を載せていることから, さらに多くの遺伝子の発現解析ができると期待される.
ISSN:0385-0137