培養破骨細胞による乳歯歯質の吸収について
ヒト乳歯象牙質上でマウスより得た破骨細胞を培養し, 健全歯質と根尖性歯周炎を起こした歯質の吸収について検索した. 【方法】3-4週齢のC57BL/6系マウス大腿骨より骨髄を採取し, 細胞浮遊液を作製した. 生理的交換期および咬合誘導上の理由から抜去された健全乳歯(n群)と著明な根尖性歯周炎のため抜去された乳歯(p群)から試料片を作製した. 試料片存在下で細胞浮遊液を4日間培養した. 培養終了後, 浸漬固定, TRAP活性反応を行い, 陽性細胞数の計測および試料片の面積測定により, 陽性細胞の出現率を密度としてあらわし両群を比較した. その後, 通法に従って各処理を施し, SEMおよびTEMにて...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 445 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | ヒト乳歯象牙質上でマウスより得た破骨細胞を培養し, 健全歯質と根尖性歯周炎を起こした歯質の吸収について検索した. 【方法】3-4週齢のC57BL/6系マウス大腿骨より骨髄を採取し, 細胞浮遊液を作製した. 生理的交換期および咬合誘導上の理由から抜去された健全乳歯(n群)と著明な根尖性歯周炎のため抜去された乳歯(p群)から試料片を作製した. 試料片存在下で細胞浮遊液を4日間培養した. 培養終了後, 浸漬固定, TRAP活性反応を行い, 陽性細胞数の計測および試料片の面積測定により, 陽性細胞の出現率を密度としてあらわし両群を比較した. その後, 通法に従って各処理を施し, SEMおよびTEMにて試料片表面領域を観察した. 【結果】TRAP陽性細胞が両群の試料片上に観察された. p群では, 根尖領域付近の試料片で密度が低い値を示した. 両群間の陽性細胞の密度に統計的有意差は認められなかった. SEM観察では浅い吸収窩が認められたが, その数は各試料片の陽性細胞数より少なかった. TEM観察では小型の破骨細胞が観察された. 【考察】感染根管を有した歯質であっても, 吸収系の細胞により吸収されることが示された. また, p群では歯根の部位により陽性細胞の密度にばらつきを認めたことから, 歯質の状態により吸収量に差が生じる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0385-0137 |