至適一回嚥下量に関する研究

摂食, 嚥下障害のリハビリテーションにおいては, どれくらいの食塊量が嚥下する上に適しているのか至適一回嚥下量が重要な問題である. また, どのような感覚機構が至適一回嚥下量を決めているのかは, 口腔の機能面から興味がもたれる. 本研究では, 粥を材料に自由摂取条件での至適一回嚥下量を測定した. (方法)健康な女子学生を被験者とした. 被検食品として, 摂食開始時点で60℃に加温した五分粥ならびに全粥を用いた. 両被検食品とも, 50gをスプーンにて自由に摂取させた. 全量を摂取し終えるまでに要した時間(摂取時間)ならびに嚥下回数を記録した. 実験は1週間の間隔で2回実施し, 第1回目に参加し...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 451
Main Authors 宮岡洋三, 宮岡里寿, 山田好秋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:摂食, 嚥下障害のリハビリテーションにおいては, どれくらいの食塊量が嚥下する上に適しているのか至適一回嚥下量が重要な問題である. また, どのような感覚機構が至適一回嚥下量を決めているのかは, 口腔の機能面から興味がもたれる. 本研究では, 粥を材料に自由摂取条件での至適一回嚥下量を測定した. (方法)健康な女子学生を被験者とした. 被検食品として, 摂食開始時点で60℃に加温した五分粥ならびに全粥を用いた. 両被検食品とも, 50gをスプーンにて自由に摂取させた. 全量を摂取し終えるまでに要した時間(摂取時間)ならびに嚥下回数を記録した. 実験は1週間の間隔で2回実施し, 第1回目に参加した38名の被験者の内, 35名が第2回目にも参加した. 至適一回嚥下量は, 被検食品の全量を嚥下回数で除して算出した. (結果及び考察)2回の実験からえられた結果はほぼ同様で, 再現性は良かった. 摂取時間は, 五分粥が80~90秒で, 全粥ではそれよりも約30秒長かった. 嚥下回数は, 五分粥が15回で全粥ではそれよりも3~4回多かった. 従って, 至適一回嚥下量については, 五分粥が全粥に比べてやや少なかったが, いずれも3g前後であった. 五分粥と全粥における摂取時間, 嚥下回数ならびに至適一回嚥下量の差は, 主として食品性状の違いに基づくと考えられた.
ISSN:0385-0137