ネコ片側舌下神経切断後の咀嚼機能回復時の両側咀嚼筋と舌筋活動の経日変化

片側舌下神経切断ネコの舌は, 舌突出時切断側へ大きく屈曲するが, 屈曲度は経日と共に徐々に減少し, 約30日で安定するが真直ぐにはならなかった. 一方, 神経切断ネコは舌屈曲状態でも, 食物摂取率は約2週間で正常の約95%まで回復したが, 食物摂取時間は切断前の約4倍に延長した. その後摂取時間は徐々に短縮し, 約30日で切断前の約2倍で安定した. このことは, 舌下神経切断後, 切断側の舌筋筋活動を補償するために, 非切断側の舌筋はもとより, 両側の咬筋および顎二腹筋前腹の筋活動も変化していると推察させる. そこで, この変化を神経切断後約40日間経日的に両側の舌筋と咀嚼筋の筋活動を検索した...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 476
Main Authors 平場久雄, 佐藤貴子, 山口やよい, 鴨川紘征, 堀稔, 田中博, 角野隆二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:片側舌下神経切断ネコの舌は, 舌突出時切断側へ大きく屈曲するが, 屈曲度は経日と共に徐々に減少し, 約30日で安定するが真直ぐにはならなかった. 一方, 神経切断ネコは舌屈曲状態でも, 食物摂取率は約2週間で正常の約95%まで回復したが, 食物摂取時間は切断前の約4倍に延長した. その後摂取時間は徐々に短縮し, 約30日で切断前の約2倍で安定した. このことは, 舌下神経切断後, 切断側の舌筋筋活動を補償するために, 非切断側の舌筋はもとより, 両側の咬筋および顎二腹筋前腹の筋活動も変化していると推察させる. そこで, この変化を神経切断後約40日間経日的に両側の舌筋と咀嚼筋の筋活動を検索した. その結果, 1)舌下神経切断後切断側の舌筋筋活動は切断前の約半分に減少し回復しなかった. 非切断側のそれは切断前と同じであったが, 約30日以後は切断側のそれと等しくなった. 2)舌下神経切断後切断側の咬筋筋活動は切断前の約2倍に増加し, 非切断側のそれは約半分に滅少した. 約30日目以後は切断側のそれはほぼ切断前のレベルに安定し, 非切断側のそれは切断前の約1.5倍で安定した. 3)顎二腹筋前腹筋活動は, 舌下神経切断後約30日まで切断側が約2倍, 非切断側が約1.5倍に増加したが, その後は両者とも約1.5倍で安定した. 以上の結果より, 咀嚼機能の回復のため, 両側の咬筋と顎二腹筋の筋活動の適応には, 約30日の時間経過が必要であることが判明した.
ISSN:0385-0137