ハンセン病の2例

【症例1】65歳男性, 沖縄県宮古島出身. 家族歴にハンセン病の既往なし. 約11年前, 左下肢に皮疹が出現したが, 自己判断でハンセン病と診断し放置していた. 皮疹は徐々に全身に広がり, 四肢のしびれや鼻閉, 脱毛, 両眼失明等が出現してきたが, 治療は受けず, 人目を避けるように家に閉じこもっていた. 他院でハンセン病と診断され, 最終的に愛楽園に紹介となった. 臨床的にも病理組織学的にも典型的なLL型ハンセン病であった. 治療はWHOのMDT療法に準じて行った. 【症例2】76歳男性, 沖縄県宮古島出身. 家族歴として, 兄にハンセン病あり, 背部の皮疹, 複数の手指の変形を主訴に平成1...

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Published in日本ハンセン病学会雑誌 Vol. 72; no. 2; p. 108
Main Authors 照渥操, 前川和代, 菊池一郎, 高宮城敦, 細川篤, 野中薫雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハンセン病学会 01.06.2003
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ISSN1342-3681

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Summary:【症例1】65歳男性, 沖縄県宮古島出身. 家族歴にハンセン病の既往なし. 約11年前, 左下肢に皮疹が出現したが, 自己判断でハンセン病と診断し放置していた. 皮疹は徐々に全身に広がり, 四肢のしびれや鼻閉, 脱毛, 両眼失明等が出現してきたが, 治療は受けず, 人目を避けるように家に閉じこもっていた. 他院でハンセン病と診断され, 最終的に愛楽園に紹介となった. 臨床的にも病理組織学的にも典型的なLL型ハンセン病であった. 治療はWHOのMDT療法に準じて行った. 【症例2】76歳男性, 沖縄県宮古島出身. 家族歴として, 兄にハンセン病あり, 背部の皮疹, 複数の手指の変形を主訴に平成11年9月受診. 背部全体に大小様々な環状紅斑, 環状隆起疹を5個認めた. 皮疹部生検切片のFite染色より菌成分認め, 臨床所見などと総合してBT型ハンセン病と診断した. WHOのMDT療法にのっとり, REP, DDS, クロファミジンの内服を開始したが, 皮疹はかなり消退し, 経過良好である. 日本において, 新患者の発生は年間10数例と少ないが, 海外の流行地からの渡航者も増加しており, 今後とも鑑別疾患として重要と思われた.
ISSN:1342-3681