対側閉塞を伴った頚部内頚動脈狭窄症4例のPositron Emission Tomography (PET)による血行再建術前後の脳循環代謝の評価

「はじめに」 対側頚動脈閉塞を伴った頚部内頚動脈狭窄症例では, 両側の脳循環代謝障害を伴っていることが多くその予後はよくない. 無症候でも内科的治療だけでは6年間で38%のstroke発症率であったとの報告1)や症候性では2年間に69%のstroke発症率であったという報告もある2). このような症例に一側の血行再建術を行った場合, 術後両側で脳循環代謝の改善が得られればその後のstroke予防効果も大きいと思われる. これまでにわれわれはPETを用いて, 慢性期脳虚血症例のmisery perfusionの有無を検出し手術適応を検討してきた7). また, 術前後で脳循環代謝を評価することは手...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 38; no. 6; pp. 415 - 420
Main Authors 新井良和, 磯崎誠, 細田哲也, 半田裕二, 久保田紀彦, 菊田健一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中の外科学会 30.11.2010
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Summary:「はじめに」 対側頚動脈閉塞を伴った頚部内頚動脈狭窄症例では, 両側の脳循環代謝障害を伴っていることが多くその予後はよくない. 無症候でも内科的治療だけでは6年間で38%のstroke発症率であったとの報告1)や症候性では2年間に69%のstroke発症率であったという報告もある2). このような症例に一側の血行再建術を行った場合, 術後両側で脳循環代謝の改善が得られればその後のstroke予防効果も大きいと思われる. これまでにわれわれはPETを用いて, 慢性期脳虚血症例のmisery perfusionの有無を検出し手術適応を検討してきた7). また, 術前後で脳循環代謝を評価することは手術の治療効果判定に役立つだけでなく, 追加治療が必要かどうかの是非や, 今後のstroke発症予測, 発症時の病態究明の助けとなりうる. 今回われわれは, 対側閉塞を伴った頚部内頚動脈狭窄症4例に血行再建術前後でPETによる脳循環代謝・循環予備能の計測を行い評価した.
ISSN:0914-5508