細胞内寄生菌の重感染によるHIV-1複製亢進とサイトカインについて

近年, HIV感染は歯科領域でも大きな問題となってきている. 細胞内寄生菌とHIV-1が貧食細胞に重感染するとHIV-1の複製が亢進する事が知られている. また, サイトカインによってもHIV-1の複製が亢進する事が知られている. 本報告では, 細胞内寄生菌とHIV-1が重感染した場合のサイトカインとHIV-1の増殖およびプロモーター領域であるHIV-1-LTR活性化の関係を明らかにすることを目的とした. 方法:HIV-1感染細胞株であるU1および前単球系細胞株U937にHIV-1-LTRにCAT遺伝子をつなげたベクターとTAT発現ベクターを同時にトランスフェクションした細胞を被刺激細胞とした...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 481
Main Authors 北浦英樹, 山田毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:近年, HIV感染は歯科領域でも大きな問題となってきている. 細胞内寄生菌とHIV-1が貧食細胞に重感染するとHIV-1の複製が亢進する事が知られている. また, サイトカインによってもHIV-1の複製が亢進する事が知られている. 本報告では, 細胞内寄生菌とHIV-1が重感染した場合のサイトカインとHIV-1の増殖およびプロモーター領域であるHIV-1-LTR活性化の関係を明らかにすることを目的とした. 方法:HIV-1感染細胞株であるU1および前単球系細胞株U937にHIV-1-LTRにCAT遺伝子をつなげたベクターとTAT発現ベクターを同時にトランスフェクションした細胞を被刺激細胞とした. これらの105個の細胞に細胞内寄生菌である抗酸菌4種をそれぞれ106個感染させ, 24時間後に細胞を集め, CATの産生量を測定した. また, U1の上清を集めp24, TNF-α, IL-1βおよびIL-6をELISAで測定した. 結果および考察:実験に用いたすべての菌種ともTATを発現する細胞だけにCATの産生が認められた. 細胞内寄生菌には, HIV-1-LTR活性化作用があり, この作用にはTATの存在が必要であることがわかった. また, 菌種によってTNF-αの産生に違いがあり, TNF-αの産生が多いほどCATおよびp24の産生量が多かった. また, 菌種によってIL-βおよびIL-6の産生には差はなかった. 重感染した時のHIV-1-増殖活性は, TNFαが影響していることが考えられる.
ISSN:0385-0137