E2F1プロモーターにおける転写因子E2Fの転写制御
転写因子E2Fは, 細胞周期の進行, DNA複製などをつかさどる遺伝子(E2Fターゲット遺伝子)の転写の制御に重要な働きを担っている. 休止期においてE2Fの転写活性は, 癌抑制遺伝子産物Rbと結合することにより抑制され, 増殖期においてRbから遊離し活性化されることが分かっている. しかしながら, 細胞周期における個々のE2Fターゲット遺伝子の発現時期は異なっており, なぜそれらの遺伝子が異なる制御を受けているのかについては不明の点が多く残されている. そこで我々はE2Fターゲット遺伝子の一つで, 二ケ所のE2F結合領域をもつE2F1遺伝子を用いて, E2Fによる転写制御メカニズムの詳細な解...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 493 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.09.2002
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Summary: | 転写因子E2Fは, 細胞周期の進行, DNA複製などをつかさどる遺伝子(E2Fターゲット遺伝子)の転写の制御に重要な働きを担っている. 休止期においてE2Fの転写活性は, 癌抑制遺伝子産物Rbと結合することにより抑制され, 増殖期においてRbから遊離し活性化されることが分かっている. しかしながら, 細胞周期における個々のE2Fターゲット遺伝子の発現時期は異なっており, なぜそれらの遺伝子が異なる制御を受けているのかについては不明の点が多く残されている. そこで我々はE2Fターゲット遺伝子の一つで, 二ケ所のE2F結合領域をもつE2F1遺伝子を用いて, E2Fによる転写制御メカニズムの詳細な解析をおこなった. E2F1のプロモーターを組み込んだレポーター遺伝子のE2F結合領域に変異を導入し, REF52ラット胎児線維芽細胞における転写活性をルシフェラーゼアッセイにより測定した. その結果, 上流に位置するE2F結合領域は主に休止期において転写を抑制し, 下流のE2F結合領域は主に増殖期において転写を活性化することに働いていることがわかった. さらに二ケ所のE2F結合領域の近傍にはそれぞれ異なる転写因子の結合配列が存在し, E2F1プロモーターの抑制と活性化に関与していることがわかった. したがって, 2つのE2F結合領域は他の転写因子と相互作用することにより, E2F1遺伝子の転写制御に異なる働きをしていると考えられる. |
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ISSN: | 0385-0137 |