rhBMP-2を応用した骨欠損治癒過程におけるPCNA陽性細胞の動態

我々は先に, rhBMP-2-アテロコラーゲンスポンジ複合体と吸収性膜を併用する事で骨欠損の再建に良好な結果を示す事を報告した. 今回, 同じ実験系におけるPCNA陽性細胞の動態について報告する. すなわち, ウサギ(日本白色種)の下顎骨下縁に6×4mmの方形の骨欠損を作成し周囲の骨膜を切除した. 骨欠損内にrhBMP-2 10μgを担体のアテロコラーゲンスポンジに浸漬させたものを移植し, 骨欠損の外形に沿うように吸収性膜を留置した群, rhBMP-2 10μgと担体を移植し吸収性膜を留置しなかった群, 担体のみを移植し吸収性膜を留置した群, 担体のみを移植し吸収性膜を留置しなかった群を作成し...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 398
Main Authors 山田真英, 川上敏行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:我々は先に, rhBMP-2-アテロコラーゲンスポンジ複合体と吸収性膜を併用する事で骨欠損の再建に良好な結果を示す事を報告した. 今回, 同じ実験系におけるPCNA陽性細胞の動態について報告する. すなわち, ウサギ(日本白色種)の下顎骨下縁に6×4mmの方形の骨欠損を作成し周囲の骨膜を切除した. 骨欠損内にrhBMP-2 10μgを担体のアテロコラーゲンスポンジに浸漬させたものを移植し, 骨欠損の外形に沿うように吸収性膜を留置した群, rhBMP-2 10μgと担体を移植し吸収性膜を留置しなかった群, 担体のみを移植し吸収性膜を留置した群, 担体のみを移植し吸収性膜を留置しなかった群を作成した. 観察期間を5日後, 1, 2, 3, 4週後としPCNAの免疫組織化学的検討を行った. その結果, rhBMP-2使用群では, すでに5日後例において既存骨周辺ばかりでなく, 中央部にもPCNA陽性細胞がみられ, 1週後例では骨欠損全域に新生骨の形成とPCNA陽性細胞数が最高値を示した. これに対し, 非使用群1週後例において既存骨近くに形成された新生骨の周囲にのみ多くの陽性細胞があった. 以上の所見より, 骨欠損の治癒促進には吸収性膜による軟組織の遮断はrhBMP-2応用した迅速な骨再建に有効で, rhBMP-2は骨欠損部における骨芽細胞の活性化とその増殖に重要な役割を果たしていることが示唆された.
ISSN:0385-0137