CO2レーザー照射の歯槽骨への影響

【目的】近年, 歯科臨床においてレーザー療法が種々の病変に応用されている. その中で, レーザー照射の歯槽骨への影響に関する基礎的研究は, 非常に少ない. そこで, CO2レーザーを歯槽骨に直接照射した場合の影響について, ラットを用いて病理組織学的に検索した. 【方法】8週齢SDラット30匹を用いたレーザーはCO2パルスレーザーを使用した. 実験は, 臨床に則して, 上顎左側M1の口蓋側歯肉を剥離して歯槽骨を露出させ, 1)対照としてラウンドバーにより骨削除しただけの非照射群, 2)レーザー2W, 5秒照射群と3)レーザー4W, 2秒照射群の計3群とした実験後, 1, 2, 4週に上顎骨を摘...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 333
Main Authors 大野純, 小笠原榮希, 須賀道子, 岡田美穂, 本川渉, 谷口邦久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 01.09.2003
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】近年, 歯科臨床においてレーザー療法が種々の病変に応用されている. その中で, レーザー照射の歯槽骨への影響に関する基礎的研究は, 非常に少ない. そこで, CO2レーザーを歯槽骨に直接照射した場合の影響について, ラットを用いて病理組織学的に検索した. 【方法】8週齢SDラット30匹を用いたレーザーはCO2パルスレーザーを使用した. 実験は, 臨床に則して, 上顎左側M1の口蓋側歯肉を剥離して歯槽骨を露出させ, 1)対照としてラウンドバーにより骨削除しただけの非照射群, 2)レーザー2W, 5秒照射群と3)レーザー4W, 2秒照射群の計3群とした実験後, 1, 2, 4週に上顎骨を摘出して, ホルマリン固定, 10%EDTA脱灰, パラフィン包埋, 前額断の連続切片を作製し組織学的に比較検索した. 【結果と考察】非照射群では, 骨切削面はやや陥凹し, その部には異物巨細胞を伴う肉芽組織の形成がみられた. 4週においても骨面での明らかな新生骨はみられなかった. 照射群は, いずれも最表層が一層, 黒褐色に染色される壊死骨がみられ, その直下には脱灰により骨基質が消失する領域が存在していた. この変化は, 4W照射ではより深部にまでみられ, 骨基質への影響が窺われた. また, 照射群では, 骨の表層で骨細胞の消失がみられ, レーザー照射の影響と思われた. 照射骨面の周囲に, とくに炎症反応はなく, 骨修復反応もみられなかった.
ISSN:0385-0137