反復起立動作を利用した脳卒中片麻痺患者に対する持久力改善訓練の試み

脳卒中片麻痺患者に対して, 反復起立動作を利用した持久力改善訓練を試み, その有効性を検討した. 【対象】慢性期に当科に入院しリハビリテーション訓練を実施した脳卒中片麻痺患者6名(平均年齢58.2歳, 下肢Br. stage III 4名, IV 2名, 入院後平均41日). 比較対照として通常の訓練のみを実施した脳卒中片麻痺患者10名(平均年齢55.4歳)の入院初期と退院直前に実施した体力テストの結果を用いた. 【方法】(1)体力テスト:反復起立を一定のリズムで行い, 座面を1分毎に5 cm低くすることにより漸増負荷した. この間呼気ガス分析を行いATを求めた. (2)運動内容の決定:AT以...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 12; p. 926
Main Authors 大隈秀信, 小林昌之, 緒方甫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1995
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:脳卒中片麻痺患者に対して, 反復起立動作を利用した持久力改善訓練を試み, その有効性を検討した. 【対象】慢性期に当科に入院しリハビリテーション訓練を実施した脳卒中片麻痺患者6名(平均年齢58.2歳, 下肢Br. stage III 4名, IV 2名, 入院後平均41日). 比較対照として通常の訓練のみを実施した脳卒中片麻痺患者10名(平均年齢55.4歳)の入院初期と退院直前に実施した体力テストの結果を用いた. 【方法】(1)体力テスト:反復起立を一定のリズムで行い, 座面を1分毎に5 cm低くすることにより漸増負荷した. この間呼気ガス分析を行いATを求めた. (2)運動内容の決定:AT以上を含んだ3~4段階の強度の反復起立運動を各4分間行い, 各段階最後の1分間の酸素摂取量と心拍数の回帰式からATでの心拍数(以下, ATHR)を算出した. この結果をもとに90~100%ATHRの運動内容(頻度と座面の高さ)を決定した. (3)持久力改善訓練:通常の訓練に加え90~100%ATHRに相当する反復起立運動を1日20~30分, 4週間実施, 訓練開始前と終了後の体力テストの結果を比較した. 【結果】(1)6名全員が, 90~100% ATHRの強度の反復起立運動を, 持久力改善訓練として4週間実施可能であった. (2)通常の訓練のみの10名には, ATや最高負荷時の酸素摂取量に有意な増加はみられなかったが, 持久力改善訓練を実施した6名は, 訓練終了後AT, 最高負荷時や心拍数120の時の酸素摂取量が訓練開始前と比較していずれも有意に増加しており, 訓練の有効性を示唆する所見と思われた.
ISSN:0034-351X