フェニトインによる歯肉肥大発現機構の解析
【目的】抗痙攣薬のフェニトイン(diphenylhydantoin, DPH)はてんかん症の第1選択治療薬として広く用いられているが, 一方では発症機序が不明な歯肉肥大を出現する事も問題視されている. 一方, DHPは肝のCYP2C9によって, 5-(4-hydroxyphenyl)-5-phenylhydantoin(HPPH)に代謝される事もまた良く知られている. そこで今回, このDPHによる歯肉肥大機序を検討するためにDPHの代謝産物であるHPPHの影響について, ヒト歯肉培養細胞を用いて検討した. 【方法】歯肉は, 継代4~7代までの正常ヒト歯肉細胞を, 10%FBS添加のDMEMを...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; p. 628 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.08.2001
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Summary: | 【目的】抗痙攣薬のフェニトイン(diphenylhydantoin, DPH)はてんかん症の第1選択治療薬として広く用いられているが, 一方では発症機序が不明な歯肉肥大を出現する事も問題視されている. 一方, DHPは肝のCYP2C9によって, 5-(4-hydroxyphenyl)-5-phenylhydantoin(HPPH)に代謝される事もまた良く知られている. そこで今回, このDPHによる歯肉肥大機序を検討するためにDPHの代謝産物であるHPPHの影響について, ヒト歯肉培養細胞を用いて検討した. 【方法】歯肉は, 継代4~7代までの正常ヒト歯肉細胞を, 10%FBS添加のDMEMを用いて培養した. 薬物は, DPH及びHPPH共0.1~0.0004mg/mlの各濃度のものを, 0.0005NのNaOH添加DMEM培地(pH7.4)中に溶解して使用した. 歯肉細胞増殖能はMTT法で, Type1コラーゲンの定量はRIA法で, bFGFの定量はELISA法で各々測定した. 【結果と考察】各薬物による細胞増殖能は, DPH及びHPPH共明らかに増加傾向が見られたが, HPPHはDPHに比べより強い濃度依存的な増殖が観察された. しかし, Type1コラーゲン量は, DPH及びHPPH共増加傾向は見られるものの, 有意差は見られなかったが, bFGF量はDPH及びHPPH共増加傾向が観察された. 以上の事から, DPHによる歯肉肥大機序は, DPHが直接その細胞増殖を促進するよりは, HPPHの方がより強く歯肉線維芽細胞の増殖を発現しているものと考えられた. |
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ISSN: | 0385-0137 |