エナメル芽細胞の動きとエナメル質の構造について

【目的】エナメル質の構造は, エナメル芽細胞のGroupingとDancingに直接的に依存して形成される点を前回の本学会において指摘した. 今回は, エナメル芽細胞の動きを具体的に明らかにするため, シュレーゲル条の縦断帯と横断帯がはっきり区別され, エナメル小柱の走行が明瞭な典型的を持つイヌの歯胚を用いて, 組織学的, 免疫組織学的, 並びに電顕的に形成中のエナメル質およびエナメル芽細胞を検討した. 【結果と考察】形成中のエナメル質のシュレーゲル条の各帯を構成するエナメル小柱群に対応して, エナメル芽細胞と中間層細胞は一定の集合, グループをなしていた. 各グループのエナメル芽細胞を立体観...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 408
Main Authors 小澤幸重, 岩佐由香, 鈴木久仁博, 横田ルミ, 花泉好訓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】エナメル質の構造は, エナメル芽細胞のGroupingとDancingに直接的に依存して形成される点を前回の本学会において指摘した. 今回は, エナメル芽細胞の動きを具体的に明らかにするため, シュレーゲル条の縦断帯と横断帯がはっきり区別され, エナメル小柱の走行が明瞭な典型的を持つイヌの歯胚を用いて, 組織学的, 免疫組織学的, 並びに電顕的に形成中のエナメル質およびエナメル芽細胞を検討した. 【結果と考察】形成中のエナメル質のシュレーゲル条の各帯を構成するエナメル小柱群に対応して, エナメル芽細胞と中間層細胞は一定の集合, グループをなしていた. 各グループのエナメル芽細胞を立体観察すると, 集団的に摺曲する, また個々の細胞も集団内でそれぞれに彎曲を示していた. 水平断のエナメル芽細胞では, トームスの突起および近位の閉鎖堤と中間層はグループをなしてアクチン等の反応が強く認められた. グループの境界のエナメル芽細胞では反応が弱くなるかあるいは認められないこともあった. これらの結果は, エナメル芽細胞が一定のグループをなして運動し(Grouping)シュレーゲル条を形成すること, グループ内においても個々の細胞が独自に動く(Dancing)ことを示している. このGroupingとDancingによって, 複雑なエナメル小柱の走行, その集合によるシュレーゲル条などのエナメル質構造が形成されることを示す.
ISSN:0385-0137