器官培養法を用いた下顎頭軟骨の発生, 分化機構に関する研究

【目的】下顎頭軟骨原基の出現時期から, その器官培養を行い, in vitroで軟骨細胞が増殖, 分化する様相を組織学的, 分子生物学的に検索した. 【方法】下顎頭軟骨細胞出現前の胎生14日齢のICRマウスの下顎頭相当部を摘出し, 37℃, 5%CO2条件下でBGJb培地を用い器官培養した. 形態学観察として, トルイジンブルー染色, また, type I, X collagen, aggrecanのmRNAの局在を調べるために, insituhybridizationを行った. 【結果】培養1日目では, 下顎骨原基の遠心端に, 肥大軟骨細胞が認められ, 3日目では, これらの細胞の数が増し,...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 452
Main Authors 小川卓也, 深田健二, 鈴木聖一, 柴田俊一, 下川仁弥太, 大谷啓一, 黒田敬之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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Summary:【目的】下顎頭軟骨原基の出現時期から, その器官培養を行い, in vitroで軟骨細胞が増殖, 分化する様相を組織学的, 分子生物学的に検索した. 【方法】下顎頭軟骨細胞出現前の胎生14日齢のICRマウスの下顎頭相当部を摘出し, 37℃, 5%CO2条件下でBGJb培地を用い器官培養した. 形態学観察として, トルイジンブルー染色, また, type I, X collagen, aggrecanのmRNAの局在を調べるために, insituhybridizationを行った. 【結果】培養1日目では, 下顎骨原基の遠心端に, 肥大軟骨細胞が認められ, 3日目では, これらの細胞の数が増し, in vivoにおける所見と同様に軟骨領域の伸長が見られた. 6日目では, 下顎頭軟骨の大きさが増大していたが, 遠心端まで肥大化した軟骨細胞で占められており, 肥大化軟骨細胞の一部が, メタクロマジーを示さない基質に置き換わっているのも観察された. mRNAの局在に関しては培養2日目において, type Icollagenは, 肥大化軟骨細胞の周囲の細胞に, type X collagenは, 肥大化軟骨細胞に一致してその発現が見られた. さらに, aggrecanでは, 軟骨細胞に加えて, まだ軟骨細胞に分化していない細胞層にもその発現が見られた. 【結論】下顎頭軟骨の初期発生の様相を, in vitroにおいて経時的に検索することが出来た.
ISSN:0385-0137