OCIF遺伝子欠損マウスの歯槽骨ならび歯根膜における組織学的検索

【目的】メカニカルストレスの影響を強く受けると考えられる歯槽骨に対するosteoclast differentiation factor(ODF)/osteoclastogenes isinhibitory factor(OCIF)の作用を, OCIF遺伝子欠損マウスを用いて検索した. 【方法】12週齢OCIF遺伝子欠損マウスの下顎第一臼歯を含む領域を, TRAP(酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ)酵素組織化学, ALP(アルカリホスファターゼ)とOPN(オステオポンチン)免疫組織化学にて検索した. 【結果】OCIF遺伝子欠損マウスの歯槽骨表面では, 野生型と比べて若干のTRAPase陽性破骨細...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 448
Main Authors 渡邊淳一, 網塚憲生, 小澤英浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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Summary:【目的】メカニカルストレスの影響を強く受けると考えられる歯槽骨に対するosteoclast differentiation factor(ODF)/osteoclastogenes isinhibitory factor(OCIF)の作用を, OCIF遺伝子欠損マウスを用いて検索した. 【方法】12週齢OCIF遺伝子欠損マウスの下顎第一臼歯を含む領域を, TRAP(酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ)酵素組織化学, ALP(アルカリホスファターゼ)とOPN(オステオポンチン)免疫組織化学にて検索した. 【結果】OCIF遺伝子欠損マウスの歯槽骨表面では, 野生型と比べて若干のTRAPase陽性破骨細胞数の増加傾向は見られたが有為差は得られなかった. また, 歯根膜内には破骨細胞前駆細胞をほとんど認めることが出来なかった. 一方, 歯槽骨内部では, TRAPase陽性破骨細胞の著しい増加とそれに伴った多数の血管, 骨髄腔の増加を認めた. また, ALP免疫陽性反応を示す立方型の活性型骨芽細胞が多数観察され, 骨基質には多数のOPN陽性反応を示すセメントラインが観察された. 【総括】歯槽骨内部では, OCIF欠損よる骨吸収促進と, 引き続く骨形成亢進に伴った骨代謝回転の上昇が示唆された. 一方, 咬合力を強く受ける歯根膜, 歯槽骨では, ODF/OCIFの制御以外にもメカニカルストレスの影響を受ける可能性が推察された.
ISSN:0385-0137