大型床反力計による変形性膝関節症患者の歩行分析
【はじめに】大型床反力計を用いて, 手術目的の両側性変形性膝関節症患者(OA群)の歩行分析を行った. 対象は, 高位脛骨骨切り術(HTO群)6例, 人工膝関節置換術(TKR群)10例で, 健常成人7例を正常群とした. 【結果】床反力波形を鉛直, 前後, 水平方向の3方向に分解し, おのおの検討した. 1)鉛直方向:第一峰, 第二峰および抜重効果の大きさは, 正常群, HTO群, TKR群の順で小さくなっていき, 臨床症状の進行度を反映していた(p<0.01). これに対し第一峰および第二峰までの時間には, 明らかな差はなかった. 2)前後方向:制動力および駆動力ともに正常群, HTO群,...
Saved in:
Published in | リハビリテーション医学 Vol. 30; no. 11; p. 877 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
1993
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
Cover
Summary: | 【はじめに】大型床反力計を用いて, 手術目的の両側性変形性膝関節症患者(OA群)の歩行分析を行った. 対象は, 高位脛骨骨切り術(HTO群)6例, 人工膝関節置換術(TKR群)10例で, 健常成人7例を正常群とした. 【結果】床反力波形を鉛直, 前後, 水平方向の3方向に分解し, おのおの検討した. 1)鉛直方向:第一峰, 第二峰および抜重効果の大きさは, 正常群, HTO群, TKR群の順で小さくなっていき, 臨床症状の進行度を反映していた(p<0.01). これに対し第一峰および第二峰までの時間には, 明らかな差はなかった. 2)前後方向:制動力および駆動力ともに正常群, HTO群, TKR群の順で小さくなっていた(p<0.001). 特徴的であったのは, 正常群では駆動力が制動力を上まわったのに対し, OA群では逆に制動力の方が大きかった. OAが進行するにつれて制動中心の歩行に変化することが推察された. 時間因子には差がなかった. 3)水平方向:第一峰および第二峰の大きさは, 正常群, HTO群, TKR群の順で小さくなっていた(p<0.05). 特徴的であったのは, 第一峰までの時間で, 正常群, HTO群, TKR群の順で延長していた(p<0.01). 時間因子で有意差を認めたのは水平方向のみであったが, これは前額面において膝の側方動揺性のため, 地面に力が伝わるのが延長するのではないかと推察した. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |