成人臍ヘルニア嵌頓の1例

症例は44歳,女性.数年前より臍部にピンポン球大の弾性軟な腫瘤を自覚するも,特に腹痛など認めなかったので放置していた.平成12年4月14日,同部に激しい痛みを生じたため,当科受診.血液生化学検査で白血球の上昇を認めた.腹部CTにて臍部腫瘤に一致して脂肪織内に小腸と思われる腸管の脱出を認めた.以上より臍ヘルニアの嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.ヘルニア内容は小腸であり約5cmにわたり,壁が暗褐色に変色していたが,数分経つと良好な色に戻り,腸間膜の動脈拍動も良好であったため,小腸切除は行わずヘルニア嚢の切除およびヘルニア門閉塞のみとした.術後経過は順調で9病日に退院した. 成人臍ヘルニアは本邦で...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 8; pp. 2054 - 2057
Main Authors 山本, 真, 平位, 洋文
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.08.2002
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Summary:症例は44歳,女性.数年前より臍部にピンポン球大の弾性軟な腫瘤を自覚するも,特に腹痛など認めなかったので放置していた.平成12年4月14日,同部に激しい痛みを生じたため,当科受診.血液生化学検査で白血球の上昇を認めた.腹部CTにて臍部腫瘤に一致して脂肪織内に小腸と思われる腸管の脱出を認めた.以上より臍ヘルニアの嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.ヘルニア内容は小腸であり約5cmにわたり,壁が暗褐色に変色していたが,数分経つと良好な色に戻り,腸間膜の動脈拍動も良好であったため,小腸切除は行わずヘルニア嚢の切除およびヘルニア門閉塞のみとした.術後経過は順調で9病日に退院した. 成人臍ヘルニアは本邦では稀な疾患であり,嵌頓症例は検索しえた限りでは最近約10年間に自験例を含めて27例が報告されているに過ぎない.若干の文献的報告を加えて報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.2054