唾液中のミュータンスレンサ球菌レベルとう蝕有病との相関 ―改良型MSB培地の応用

【目的】ミュータンスレンサ球菌(MS)の算定, 検出用に多用されているMSB培地の欠点(選択性不良)を改善した改良型MSB培地がビーエムエル社により開発され, その有用性が報告されている. 本研究では, 改良培地と従来培地を用いて, 唾液中S. mutans(Sm)とS. soburinus(Ss)レベルとう蝕有病との相関性を評価することを目的とした. 【方法】学部学生256名を対象とし, DMFTは数を査定後, パラフィン刺激唾液を採取し, 凍結保存した. 37℃融解唾液試料の冷BHI希釈液を改良培地(ビーエムエル社より供与)と従来培地にスパイラル装置にて塗抹し, 48時間嫌気培養後, 実体...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 466
Main Authors 水野恭子, 後藤田宏也, 竹内武夫, 吉尾雅子, 斉藤美芽子, 井田博久, 福島和雄, 小林清吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】ミュータンスレンサ球菌(MS)の算定, 検出用に多用されているMSB培地の欠点(選択性不良)を改善した改良型MSB培地がビーエムエル社により開発され, その有用性が報告されている. 本研究では, 改良培地と従来培地を用いて, 唾液中S. mutans(Sm)とS. soburinus(Ss)レベルとう蝕有病との相関性を評価することを目的とした. 【方法】学部学生256名を対象とし, DMFTは数を査定後, パラフィン刺激唾液を採取し, 凍結保存した. 37℃融解唾液試料の冷BHI希釈液を改良培地(ビーエムエル社より供与)と従来培地にスパイラル装置にて塗抹し, 48時間嫌気培養後, 実体顕微鏡下でSm, Ss及び非MS菌の生菌数を集落形態の違いを指標に算定した. 【結果及び考察】改良型培地におけるSmとSsの検出者率と平均検出菌数(logCFU/ml)は従来型培地より若干ながら勝った. 一方非MS菌の検出菌数は改良培地で半減した. 改良培地において, Ss保有者群と非保有者群の平均DMFT±SDは10. 15±5. 21, 7. 13±5. 46で群間に有意な差が認められた(t検定:p<0. 001). また, Sm保有者において, MS比(Sm/総レンサ球菌)1%以上群と0. 1%未満群の平均DMFT±SDは9. 83±5. 61, 6. 56±5. 21で両群間に有意な差を示した(p<0. 01). 以上, 改良培地の選択性の向上, 及び特定菌とう蝕有病との相関性を把握できた.
ISSN:0385-0137