ヒト歯根膜細胞のrhBMP-2に対する走化性について

【目的】我々はこれまでBMP(骨形成タンパク質)を局所に投与することで歯周組織が再生されることを明らかにしてきた(Kuboki et al. Eur J Oral Sci 106 197-203 1998). 組織の再生には一つの過程として担当細胞の動員が必要であり, この観点からBMPによる歯根膜由来線維芽細胞の走化性を検討した. 【方法】矯正便宜抜去歯より歯根膜細胞をメスにて掻爬, 分離し10%FCSを含むα-MEM中で培養し4~6回継代した. 走化性の分析はBoyden Chamberを用い, 5%CO2, 95%air, 37℃で2時間incubateし細胞を遊走させた. その後ポリカ...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 493
Main Authors 請川哲也, 鵜野慶治, 佐藤範幸, 大畑昇, 滝田裕子, 水野守道, 久保木芳徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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Summary:【目的】我々はこれまでBMP(骨形成タンパク質)を局所に投与することで歯周組織が再生されることを明らかにしてきた(Kuboki et al. Eur J Oral Sci 106 197-203 1998). 組織の再生には一つの過程として担当細胞の動員が必要であり, この観点からBMPによる歯根膜由来線維芽細胞の走化性を検討した. 【方法】矯正便宜抜去歯より歯根膜細胞をメスにて掻爬, 分離し10%FCSを含むα-MEM中で培養し4~6回継代した. 走化性の分析はBoyden Chamberを用い, 5%CO2, 95%air, 37℃で2時間incubateし細胞を遊走させた. その後ポリカーボネートフィルターを固定染色し細胞数をカウントした. Positive contorolにはPDGF-BBを用い, BMPは山之内製薬から恵与されたrhBMP-2を用いた. 【結果と考察】歯根膜細胞はPDGFに対しては既報通り0.03μg/mlで最高の走化性を発現した. これに対しBMPに対しては, 5μg/mlにおいてピークをもつベル型の走化性をもつことがわかった. BMPに対し骨原性細胞は強い走化性を示すことが知られている. 一方, 歯周組織再生の担当細胞には線維芽細胞のみならず, 少なくとも骨芽細胞, セメント芽細胞とそれらの末分化細胞も関与する. 今回の結果からみて, 担当細胞の動員には複数種のサイトカインとメカニカルストレスも作用していると考えられる.
ISSN:0385-0137