脳血管障害患者に対するリハビリテーション科の早期介入

【目的】当院に脳血管障害の診断で入院した患者のリハビリテーション(以下, リハ)は, これまで他科からの依頼により開始していた. そこで, リハ科としてできるだけ早期に関与し, 同時に患者実数と全体像を把握することを目的とした. 【方法】当大学看護部の入退院記録をもとに該当患者を抽出し, ベッドサイドにて診察および評価を行った. 評価では機能形態障害, 能力障害を重視し, 適応症例には訓練を開始した. 【対象】平成7年4月~平成8年4月の12カ月間に当院に脳血管障害の診断にて入院した310例(男性168例, 女性142例, 平均年齢64.3歳). また, 麻痺回復過程の分析は, 発症3日以内に...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 11; p. 772
Main Authors 早乙女郁子, 江藤文夫, 古市照人, 稲源一郎, 鈴木大雅, 澁谷健一郎, 秋谷典裕, 橋本豊年, 中島雅彦, 本多卓, 佐々木頼夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1996
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】当院に脳血管障害の診断で入院した患者のリハビリテーション(以下, リハ)は, これまで他科からの依頼により開始していた. そこで, リハ科としてできるだけ早期に関与し, 同時に患者実数と全体像を把握することを目的とした. 【方法】当大学看護部の入退院記録をもとに該当患者を抽出し, ベッドサイドにて診察および評価を行った. 評価では機能形態障害, 能力障害を重視し, 適応症例には訓練を開始した. 【対象】平成7年4月~平成8年4月の12カ月間に当院に脳血管障害の診断にて入院した310例(男性168例, 女性142例, 平均年齢64.3歳). また, 麻痺回復過程の分析は, 発症3日以内に初診し麻痺を認めた症例のうちBrunnstrom stage 5以下で2週以上追跡できた32例を対象とした. 【結果および考察】疾患別頻度は脳梗塞, 脳出血, クモ膜下出血の順に高く, 比率は6:3:1であった. 発症から入院までの期間は第1病日が143例と最も多く, 2回以上の再発例は25%であった. 発症10日以内初診は170例で, 平均4.5日で初診となった. 麻痺回復経過では上肢が下肢に比べて回復が遷延する傾向があった. 発症から初診までの日数と在院日数の比較では10日以内初診群で11日以降初診群より有意に在院日数が短期間であった. 全体の59%が自宅退院となったが, 転院・施設入所例と比べて在院期間が短かった. その一つの要因として転院・施設入所例では麻痺重症例が有意に多く認められた.
ISSN:0034-351X