エナメル芽細胞の分化に伴う遺伝子発現の変化

【目的】エナメル芽細胞は, 種々のエナメルタンパクを分泌しながらエナメル質を形成する. 本研究では, マウス切歯のエナメル芽細胞を用いて, 分化に伴う遺伝子発現の変化を解析した. 【方法】生後7日齢のマウス下顎切歯の唇側から, エナメル芽細胞層を採取した. Cervical loopから切縁側端までを3等分し, 未分化なエナメル芽細胞を多く含むCervical loop側1/3と, 成熟期エナメル芽細胞を多く含む切縁側1/3からそれぞれRNAを調製した. 種々のエナメルタンパクの発現を, RT-PCR法とNorthern blot法で検討し, さらに, 遺伝子発現プロファイルをMacroarr...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 419
Main Authors 須澤徹夫, 片桐岳信, 守村直子, 上條竜太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】エナメル芽細胞は, 種々のエナメルタンパクを分泌しながらエナメル質を形成する. 本研究では, マウス切歯のエナメル芽細胞を用いて, 分化に伴う遺伝子発現の変化を解析した. 【方法】生後7日齢のマウス下顎切歯の唇側から, エナメル芽細胞層を採取した. Cervical loopから切縁側端までを3等分し, 未分化なエナメル芽細胞を多く含むCervical loop側1/3と, 成熟期エナメル芽細胞を多く含む切縁側1/3からそれぞれRNAを調製した. 種々のエナメルタンパクの発現を, RT-PCR法とNorthern blot法で検討し, さらに, 遺伝子発現プロファイルをMacroarrayにて解析した. 【結果】未分化なエナメル芽細胞の画分では, AmelogeninとEnamelinに加え, Enamelysinの発現が高かった. 一方, 成熟期エナメル芽細胞の画分では, Enamel matrix serine proteinase1(EMSP1)の発現が顕著に増加すると共に, HIF-1αなど低酸素応答遺伝子の発現亢進が認められた. 【考察】分化に伴う発現量の変化から, エナメルタンパク分解酵素の中でEnamelysinはエナメル質形成の初期に, EMSP1は後期に働くことが示唆された. また, 低酸素応答遺伝子は, エナメル芽細胞の維持ならびに分化に関与すると考えられた.
ISSN:0385-0137