経過観察中に血栓閉塞した遺残坐骨動脈瘤の1例

遺残坐骨動脈瘤は,胎生期の下肢栄養血管である坐骨動脈が遺残し,瘤を形成した稀な疾患である.今回われわれは血管造影検査後,動脈瘤が自然に完全血栓化し,症状が軽快した1例を経験したので報告する. 症例は81歳,女性.左臀部拍動性腫瘤,左下肢痛を主訴に来院した.左臀部に最大径12cmの拍動性腫瘤を触知した.造影CT,下肢動脈造影にて左臀部から下腿にかけて径8 mmの坐骨動脈を認め,股関節のレベルに最大径6 cmの動脈瘤を認めた.動脈造影後より自覚症状が軽快し,臀部の拍動も消失した.初診時からの4, 7カ月後の造影CTにて完全に血栓化した動脈瘤と,深大腿動脈からの側副血行路より栄養をうける膝窩動脈を確...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 6; pp. 1719 - 1722
Main Authors 羽藤, 誠記, 伊藤, 昭敏, 坪井, 謙, 神谷, 保廣, 小林, 建司, 中山, 卓也
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.06.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.1719

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Summary:遺残坐骨動脈瘤は,胎生期の下肢栄養血管である坐骨動脈が遺残し,瘤を形成した稀な疾患である.今回われわれは血管造影検査後,動脈瘤が自然に完全血栓化し,症状が軽快した1例を経験したので報告する. 症例は81歳,女性.左臀部拍動性腫瘤,左下肢痛を主訴に来院した.左臀部に最大径12cmの拍動性腫瘤を触知した.造影CT,下肢動脈造影にて左臀部から下腿にかけて径8 mmの坐骨動脈を認め,股関節のレベルに最大径6 cmの動脈瘤を認めた.動脈造影後より自覚症状が軽快し,臀部の拍動も消失した.初診時からの4, 7カ月後の造影CTにて完全に血栓化した動脈瘤と,深大腿動脈からの側副血行路より栄養をうける膝窩動脈を確認した.現在初診時より1年経過し,自覚症状は軽快,左下肢の虚血症状も認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.1719